セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-診断1

タイトル 消P-312:

潰瘍性大腸炎の腸管狭窄における粘膜下層線維化とbasic-fibroblast growth factor陽性好中球との関連について

演者 山縣 仁(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 迎 美幸(北里大東病院・消化器内科), 横山 薫(北里大東病院・消化器内科), 佐田 美和(北里大東病院・消化器内科), 小林 清典(北里大東病院・消化器内科), 三上 哲夫(北里大・病理学), 勝又 伴栄(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科), 西元寺 克禮(北里大東病院・消化器内科), 岡安 勲(北里大・病理学)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎 (UC)の良性狭窄は稀であり、その原因は未だ不明な点が多い。我々はこの狭窄の原因を病理学的に明らかにする事を目的とした。【方法】北里大学東病院にてUCと診断された1,115例中、手術が施行されUC良性狭窄と診断された狭窄例9例と同等の臨床経過を示した非狭窄手術例17例を対象とした。Hematoxylin-Eosin (HE) 染色にて潰瘍部と潰瘍瘢痕部の切片上の長さを狭窄例と非狭窄例を比較した。手術標本から狭窄例の狭窄部と遠位端から20cm以内で狭窄のない部位、及び非狭窄例の遠位端から20cm以内の部位を各症例から抽出した。 Matts scoreを用いて炎症度を分類し、 b-FGF陽性好中球数、α-SMA陽性細胞数、CD34陽性毛細血管数、CD68陽性細胞数を計測した。また、HE染色標本にて同部位の全好中球数を同様に計測し、b-FGF陽性好中球の割合を算出した。b-FGFに対してmyeloperoxidase及び、CD68の免疫二重染色を行なった。【結果】病悩期間は狭窄例の方が長かった。潰瘍部の割合に有意差はなかったが、潰瘍瘢痕部は狭窄例にて有意に高い割合を示した。狭窄部の線維化部分にてb-FGF陽性細胞とmyofibroblastが多く認めた。CD68陽性細胞も多く認めたが、二重免疫染色にて、b-FGF陽性細胞の多くはmyeloperoxidase陽性であり、b-FGF陽性好中球数と全好中球数において相関性を認めた。【考察】長期経過例にて線維性狭窄を認める傾向にあった。b-FGFはmyofibroblastを誘導して線維化が起こると考えられ、b-FGF陽性細胞の主体は炎症部に浸潤した好中球であると考えられる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 良性狭窄