セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-診断1

タイトル 消P-313:

大腸鋸歯状病変の内視鏡的腺口形態と臨床病理学的所見についての検討

演者 矢野 雄一郎(昭和大・消化器内科)
共同演者 小西 一男(昭和大・消化器内科), 久保田 祐太郎(昭和大・消化器内科), 片桐 敦(昭和大・消化器内科), 村元 喬(昭和大・消化器内科), 小林 祥也(昭和大・消化器内科), 東條 正幸(昭和大・消化器内科), 紺田 健一(昭和大・消化器内科), 新村 健介(昭和大・消化器内科), 吉川 望海(昭和大病院・内視鏡センター), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的に切除された大腸鋸歯状病変の内視鏡所見および臨床病理学的所見を比較検討する.【方法】2005年4月から2010年12月までに当院で内視鏡的に切除された大腸鋸歯状腫瘍 (SN)194病変とHyperplastic polyp (HP) 61病変を比較した.SNは,Longacre,Torlakovicらの基準に準拠してSessile serrated adenoma(SSA),Mixed polyp(MP)、Traditional serrated adenoma(TSA)に分類した(SSA 66病変,MP 23病変,TSA 105病変).鋸歯状病変における腺口形態は,インジゴカルミン撒布下観察で工藤・鶴田分類に基づき1) II型pit,2) 腫瘍性pit (IIIL-V 型pit),3) 混在型pit (前二者の混在)に分類した.分子生物学的検討としてBRAF遺伝子変異とCpG island methylator phenotype (CIMP)の有無についても検討した.【結果】II型pitは、HP 50/61(82%),SSA 66/66(100%),MP 5/23(21%),TSA 35/105(22%)に認め、HPとSSAで高率に認められた(p<0.001).また,混在型pitは、HP 8/61(13%),SSA 0/66(0%),MP 14/23(61%),TSA 35/105(33%)に認められ,高異型度腫瘍9病変ではすべて腫瘍性あるいは混在型pitを呈していた.II型pitと診断されたSN106病変,HP50病変について検討してみると,HPに比べてSNは有意に右側大腸に多く認められ(HP 45%,SSA75%,MP80%,TSA 65%:p<0.001),腫瘍径中央値もSNで大きかった(HP 7mm vs. SA9mm:p<0.001).またII型pitを呈したSN32病変では,56% (18/32)でCIMP,53% (17/32)でBRAF変異を認め,腫瘍性病変としての特徴を認めた.【結語】腫瘍性及び混在型pitを示す大腸鋸歯状病変はTSAあるいはMPの可能性が高く,高異型度病変の鑑別にも有用であった.腺口形態のみでHPとSNの鑑別は困難であるが,腫瘍占居部位と腫瘍径を考慮することで鑑別できる可能性が考えられた.現在進行中の遺伝子解析結果も加えて報告したい.
索引用語 大腸鋸歯状病変, 内視鏡的腺口形態