セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-診断2

タイトル 消P-315:

FDG-PET/CTによる大腸癌診断の検討

演者 佐野村 誠(北摂総合病院・消化器内科)
共同演者 高橋 良明(北摂総合病院・消化器内科), 横山 紘子(北摂総合病院・消化器内科), 中 悠(北摂総合病院・消化器内科), 筋師 徹也(北摂総合病院・消化器内科), 原田 智(北摂総合病院・消化器内科), 佐々木 有一(北摂総合病院・消化器内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【背景】大腸癌はFDGが比較的良好に集積する腫瘍であり、現在、FDG-PET/CTは大腸癌の存在診断および転移診断に用いられている。しかしながら偽陰性・偽陽性を示す症例も少なからず認められるのが現状である。【目的】FDG-PET/CTによる大腸癌の存在診断・転移診断における有用性とその位置付けについて明らかにする。【対象・方法】2006年6月から2011年1月までに当院で大腸癌としてFDG-PET/CTを施行した397例のうち、原発巣および転移巣の病理組織学的な検索がおこなわれた90症例(100病変: M癌 12病変, SM癌 16病変, MP癌 14病変, SS/A以深癌 58病変)について検討した。また併存した大腸腺腫の存在診断についても検討した。【結果】1)大腸癌の存在診断:感度95.0%, 陽性反応適中度97.9%であった。偽陽性症例は虚血性大腸炎の穿孔(横行結腸)、アメーバ性大腸炎(上行結腸)の2例であり、偽陰性症例はM癌3例(S, 20mm, IIa+IIc (LST-NG-PD)、S, 18mm, IIa (LST-NG)、C, 12mm, IIa)、SM癌1例(S, 8mm, Is+IIc)、MP癌1例(T, 30mm, Type 2 (LST-NG由来))の5例であった。2)リンパ節転移診断:感度65.1%, 特異度93.5%であり、リンパ節転移診断の感度はやや低いが特異度は高かった。3)腹膜播種診断:感度60.0%, 特異度100%であった。4)併存した大腸腺腫の存在診断:5mm以上腺腫(n=24)の陽性率 16.7%, 10mm以上腺腫(n=13)の陽性率30.8%, 20mm以上腺腫(n=3)の陽性率 66.7%であり、大腸腺腫の腫瘍径が大きくなればPET陽性率が高くなった。【考察】FDG-PET/CTによる大腸癌の存在診断能は良好であったが、大腸の炎症によるFDG集積により偽陽性を呈した症例もみられた。またLST-NGの大腸癌については腫瘍径が大きく深部浸潤を来していてもFDG-PET/CT陰性となることがあり、留意すべき形態であると考えられた。
索引用語 PET, 大腸がん