セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-診断2

タイトル 消P-318:

背景疾患からみた消化管サイトメガロウイルス感染症例における臨床経過

演者 中村 利夫(浜松医大・2外科)
共同演者 倉地 清隆(浜松医大・2外科), 中村 光一(浜松医大・2外科), 原田 岳(浜松医大・2外科), 原 竜平(浜松医大・2外科), 間 浩之(浜松医大・2外科), 今野 弘之(浜松医大・2外科), 馬場 聡(浜松医大附属病院・病理部)
抄録 サイトメガロウイルス(以下CMV)感染症は後天性免疫不全症候群(以下AIDS)における日和見感染として頻度が高いが、非AIDS症例においても臓器移植、悪性腫瘍に対する化学療法、IBDや膠原病などに対するステロイドや免疫抑制剤投与などの免疫不全状態の患者における増加が報告されている。【目的】われわれは当院における消化管CMV感染症についてその臨床的背景を明らかにするとともに、外科治療に至った症例の治療経過と予後について検討を行った。【対象】当院において1996年から2010年に病理組織学的に消化管CMV感染が確認された50例である。【結果】男女比は38:12、平均年齢は52.5歳(17~83)である。診断部位は食道1例、胃10例、十二指腸4例、小腸6例、大腸29例であった。背景疾患としては潰瘍性大腸炎16例、血液疾患12例(白血病11例、悪性リンパ腫1例)、外科術後9例(悪性疾患5例、心血管手術4例)、膠原病7例(リウマチ2例、SLE2例、ベーチェット病3例)、慢性腎不全2例、間質性肺炎2例、背景疾患のないものが2例認められた。臨床転帰は50例中13例で1年以内(平均6.8か月)に背景疾患による死亡が確認されている。死亡例の背景疾患は血液疾患4例、間質性肺炎2例、慢性腎不全2例、悪性疾患3例、潰瘍性大腸炎1例、心疾患1例であった。50例中外科治療を要したのは14例であり、手術適応としてはUC難治例が6例、穿孔4例、出血3例、狭窄1例であった。14例中11例が生存しており、生存11例中10例に術前よりGanciclovirが投与されていたが、死亡した3例はいずれも投与されておらず、術後CMV肺炎1例、腎不全で2例死亡している。【結論】当院で病理組織学的に消化管CMV感染症と診断された50例について検討した。背景疾患の認められない2例を除いた48例で免疫不全状態が認められた。外科治療を要した14例中予後不良であった3例は術前にCMV感染が確認されておらずCMV感染を念頭に置いた治療が重要であると考える。
索引用語 サイトメガロウィルス, 外科治療