セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎2

タイトル 消P-329:

潰瘍性大腸炎合併妊娠、出産に関する臨床的検討

演者 遠藤 克哉(東北大病院・消化器内科)
共同演者 高橋 成一(東北大病院・消化器内科), 下平 陽介(東北大病院・消化器内科), 諸井 林太郎(東北大病院・消化器内科), 長澤 仁嗣(東北大病院・消化器内科), 黒羽 正剛(東北大病院・消化器内科), 志賀 永嗣(東北大病院・消化器内科), 角田 洋一(東北大病院・消化器内科), 木内 喜孝(東北大保健管理センター), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【背景】海外の報告では、潰瘍性大腸炎(UC)合併妊娠では、早産や新生児の先天的異常などが増える一方、妊娠がUCの活動性に与える影響は少ないといわれている。本邦ではUCと妊娠が互いに与える影響についての報告は未だ少ない。そこで当科のUC合併妊娠、出産例について臨床的検討を行った。【方法】 対象は当科で経験したUC合併妊娠38例、49回。(1)妊娠がUCに与える影響、(2)UCが妊娠に与える影響、(3)妊娠中の治療薬をretrospectiveに検討した。早産、流産、死産、胎盤異常、低出生体重児、新生児の先天的異常のいずれかをみとめた場合、「妊娠、出産異常」と定義した。【結果】全49回中、寛解期妊娠は23回、活動期妊娠は26回(軽症23回、中等症3回)であった。(1)妊娠がUCに与える影響:寛解期妊娠23回中、15回(62.5%)に再燃をみとめた。活動期妊娠26回中、8回(30.8%)で活動性が増悪した。(2)UCが妊娠に与える影響:全49回中43回で出産可能であった。「妊娠、出産異常」は15回(30.6%)にみとめた。「妊娠、出産異常」をみとめた15回と、異常のなかった34回を比較すると、前者で寛解期妊娠が有意に少なかった(p<0.05)。(3)妊娠中の治療薬:妊娠中に寛解を保った8回中5回には治療が行われ、内訳は5-ASA内服2回、5-ASA注腸2回、プレドニゾロン(PSL)内服2回であった(重複あり)。妊娠中活動期であった41回中37回に治療が行われ、内訳は、5-ASA内服26回、PSL内服または静注16回、5-ASA注腸7回、ステロイド座薬4回、ステロイド注腸4回、SASP座薬2回、血球成分除去療法1回であった(重複あり)。全43回の出産で、新生児に先天的異常は認めなかった。【考察】妊娠中のUC再燃率は当科での年間再燃率(約60%)と差はなく、妊娠がUCに与える影響は少ないと考えられた。UCが妊娠に与える影響も少ないと考えられたが、活動期妊娠では「妊娠、出産異常」が多く、寛解期の妊娠が望ましいと考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 妊娠