セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
潰瘍性大腸炎2
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タイトル |
消P-330:サイトメガロウイルス感染合併潰瘍性大腸炎の臨床的検討
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演者 |
菊山 梨紗(兵庫医大・内科(下部消化管科)) |
共同演者 |
中村 志郎(兵庫医大・内科(下部消化管科)), 松本 譽之(兵庫医大・内科(下部消化管科)) |
抄録 |
【目的】ステロイド抵抗性の潰瘍性大腸炎(UC)では、サイトメガロウイルス(CMV)が重症化や難治化に関与している可能性が報告されている。しかし、CMV感染合併例の的確な診断法や抗ウイルス療法の適応基準は未だ確立されていない。今回我々はCMV感染合併UCを対象に、その臨床像と診断、治療成績、特に抗ウイルス療法の有用性と適応基準について検討した。【方法】H19年4月~H22年3月に当科で入院加療したUC191例においてC7-HRP, 血液・組織定性PCR, 生検病理(HEと免疫染色)検査のいずれかに陽性を示した86例をCMV感染合併例として検討対象とした。抗ウイルス療法として、ガンシクロビル(GCV)が58例に投与された。GCVのみで臨床的寛解が導入された例を著効、GCVのみでは寛解に至らず追加治療を要した例を改善、要手術例を無効と定義しその有効性を評価した。さらにGCVが著効する症例の選別に有用な因子の解明を目的として、著効例とそれ以外の例でウイルス検査所見やその他の臨床所見を比較検討した。【結果】(1)患者背景では、男女比56:30、平年齢44.2歳、平均罹病期間61.0月、全大腸炎型78%、中等症~重症98%、難治例が81%であった。(2)内視鏡所見は血液と組織PCR両方陽性例の約60%、病理陽性例の約70%が深掘れ潰瘍形成例であった。(3)各ウイルス検査の陽性率は病理15%、C7-HRP28%、血液PCR 58.4%、組織PCR 84.3%であった。(4)GCVは著効が15例(26.3%)で、改善を併せた短期的な有効率は75.6%であった。(5)GCVが著効する要因として著効例ではC7-HRPの陽性率が高く、有意に高い陽性値(著効例12.45±20.30/5万、非著効例6.26±10.23/5万)を示し、臨床所見ではCMV判明直前1か月間のPSL総投与量が有意に多かった。(6)CMV感染合併例の内科治療の長期成績は、約2年で再燃率53.8%、再燃時のCMV陽性率57.1%で、結腸切除率は38.5%であった。【結論】CMV感染合併UCにおいてGCVの著効率は26.3%で、抗ウィルス療法の選別基準として高タイターのアンチゲネミアが有用と考えられた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス |