セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎2

タイトル 消P-331:

サイトメガロウイルス感染症を合併したステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎に対する治療戦略―当科におけるタクロリムス対白血球除去療法のretrospective studyから―

演者 杉本 健(浜松医大・1内科)
共同演者 濱屋 寧(浜松医大・分子診断学), 栗山 茂(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 金岡 繁(浜松医大・分子診断学), 古田 隆久(浜松医大附属病院・臨床研究管理センター), 大澤 恵(浜松医大・1内科)
抄録 【目的】サイトメガロウイルス(CMV)感染がステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎(UC)に合併した場合治療に難渋する場合が多い。CMVは炎症粘膜に生着しやすいことから、強力な免疫抑制剤を使用して速やかに粘膜の炎症を改善させるべきという意見と、逆にCMV感染は免疫不全を背景に発症するため白血球除去療法(CAP)を併用し、免疫抑制治療を回避する治療法を選択するべきであるという意見が存在する。今回我々は、当院におけるCMV感染を合併した重症ステロイド抵抗性UCに対する寛解導入療法としてタクロリムスを使用した群とCAP療法を使用した群とをretrospectiveに検討した。【方法】当科にて2001年から2010年までに入院加療したCMV感染を合併したステロイド抵抗性の重症UC15例をCAP療法にガンシクロビル(GCV)を併用した群(A群)11例とタクロリムス使用群(B群)4例とを比較検討した。両群ともに治療開始後にステロイドは減量された。【成績】A群においては、3例(27.3%)で寛解導入が得られた(平均入院期間103.0±50.1日)が、6例(54.5%)で外科手術(治療抵抗例1例、大出血1例、腸管狭窄1例)が施行された。2例が治療中に死亡した(急性腎不全1例、重症肺炎1例)。B群においては4例ですべて寛解導入が得られ手術例はなかった。3例にGCVが投与されたが、1例はGCV投与をすることなく寛解が得られた。B群の平均入院期間は27.8±21.2日であり、A群の非手術寛解導入例と比較して有意な入院期間の短縮を認めた。B群には重篤な副作用出現例や死亡例は見られなかった。【結論】さらなる症例数の集積が必要であるが、CMV感染を合併した重症ステロイド抵抗性UCに対して、免疫抑制剤であるタクロリムスを早期に使用した寛解導入療法が、CAP療法を併用する免疫抑制を回避する治療に勝る可能性が示唆された。
索引用語 潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス