セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎3

タイトル 消P-337:

高齢者潰瘍性大腸炎患者に関する臨床的検討

演者 氏原 正樹(名古屋大・消化器内科)
共同演者 安藤 貴文(名古屋大・消化器内科), 石黒 和博(名古屋大・消化器内科), 前田 修(名古屋大・消化器内科), 渡辺 修(名古屋大・消化器内科), 日比 知志(名古屋大・消化器内科), 神谷 徹(名古屋大・消化器内科), 三村 俊哉(名古屋大・消化器内科), 平山 裕(名古屋大・消化器内科), 森瀬 和宏(名古屋大・消化器内科), 宮原 良二(名古屋大・光学医療診療部), 大宮 直木(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科DELIMITER名古屋大・光学医療診療部)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)は未だ原因不明の疾患でありながら、近年患者数は増加の一途を辿っている。その結果UCは消化器内科の専門医のみならず、一般内科医、外科医にとっても診療の機会が増えてきている疾患である。従来UCは若年者に好発する疾患と考えられてきたが、患者数の増加に伴い高齢者の患者も増加している。臨床経過は若年者と大きな相違はないとされているが、高齢者では併存疾患を有する場合が多く、治療薬の選択や副作用の発現に対する配慮が必要である。【目的】高齢者UC患者に関する診療の現況と問題点を検討する。【対象】当院通院中のUC患者196例のうち60歳以上の患者30例(男性14例、女性16例)。【成績】平均年齢は68.67歳(61-82歳)、平均罹病期間は17年(1-40年)であった。発症時の病型は全結腸型16例(53.3%)、左側結腸型6例(20%)、直腸炎型8例(26.7%)であった。手術が施行された3例を除いた27例において、治療薬は5-ASA製剤が25例、免疫調節剤は2例で使用されていた。検討時点でのステロイド投与は5例(18.5%)であった。併存疾患の保有率は30例中23例(76.67%)であった。内訳は高脂血症、高血圧症、糖尿病の順に多く、骨粗鬆症も認められた。手術症例3例の検討では、colitic cancerが2例、難治性が1例であった。全て待機手術で施行されており、術中・術後の経過は良好であった。過去3年間における大腸サーベイランスの間隔は1年が22例(73.3%)、2年が4例(13.3%)、3年以上が4例(13.3%)であった。【結論】高齢者は併存疾患として糖尿病、骨粗鬆症を有することがあり、ステロイドは長期投与にならないよう留意すべきである。高齢者では周術期の合併症リスクの上昇が懸念されるが、待機手術であれば比較的安全に施行されると考えられた。また長期経過に伴い発癌リスクは上昇するため、定期的な大腸のサーベイランスは必要である。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 高齢者