セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎3

タイトル 消P-338:

pH依存型メサラジン放出調節剤(アサコール)の活動期潰瘍性大腸炎における治療効果

演者 唯見 徳馬(社会保険中央総合病院・内科)
共同演者 吉村 直樹(社会保険中央総合病院・内科), 河口 貴昭(社会保険中央総合病院・内科), 酒匂 美奈子(社会保険中央総合病院・内科), 高添 正和(社会保険中央総合病院・内科)
抄録 【目的】5-ASA製剤は軽症から中等症の潰瘍性大腸炎(UC)治療の第一選択である。アサコールはpH依存型のメサラジン放出調節剤でありメサラジンの大腸送達性に優れている。今回、従来の5-ASA製剤で効果不十分なUC症例におけるアサコールの有効性について検討した。【方法】2009年12月以降当院にてアサコールを導入した活動期UC133例(平均年齢:33.9±12.7歳)を対象としRachmilewitzのCliniclal Activity Index(CAI)とEndoscopic Index(EI)にて投与前と投与4週間後のスコアを比較検討した。【成績】投与前と投与4週間後でCAIは6.18±1.49から3.30±2.38へと有意に低下しており(p<0.01)、活動期UC症例におけるアサコールの有用性が示唆された。病型別で検証すると全大腸炎型(6.66±1.90→3.03±2.58)、左側大腸炎型(6.42±1.47→3.44±2.18)、直腸炎型(5.63±1.04→3.31±2.50)のいずれの群においてもCAIの有意な低下を認め(p<0.01)、遠位型でも有効性を認めた。重症度別の検証でも軽症(5.20±0.58→2.80±1.76)、中等症(7.42±0.70→3.96±2.89)いずれの群においてもCAIの有意な低下を認めた(p<0.01)。アサコール切り替え前の5-ASA製剤別で検証するとサラゾスルファピリジン(6.41±1.48→3.66±2.07)群、従来型メサラジン製剤3.0g以下(5.97±1.51→3.25±2.29)群、高用量4.0g (6.29±1.16→3.53±3.50)群のいずれの群においてもCAIの有意な低下を認めた(p<0.01)。アサコールへの切り替え時点で注腸製剤などの局所製剤を使用していた症例は50例あったが、13例(26%)で局所製剤から離脱することができた。さらに、全症例中10例で投与前後で大腸内視鏡検査が施行できたが、EIは7.00±3.16から3.60±3.47へと有意に低下しており(p<0.01)、内視鏡的寛解導入効果も認めた。4例で軽度呼吸苦などの副作用を認めたが重篤な副作用は認めなかった。【結論】新規5-ASA製剤アサコールの導入で軽症から中等症までのUC患者の寛解導入率とQOLのさらなる向上が期待される。
索引用語 潰瘍性大腸炎, アサコール