セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎4

タイトル 消P-341:

炎症性腸疾患に対する免疫調整剤(アザチオプリン、6-メルカトプリン)使用例における副作用発現例の解析

演者 田中 信(京都第一赤十字病院・消化器科)
共同演者 奥山 祐右(京都第一赤十字病院・消化器科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)に対するアザチオプリン(AZA)や6-メルカトプリン(6-MP)使用例における副作用の発現例の臨床的特徴を明らかにすること【対象と方法】当院にて診断した炎症性腸疾患167症例(UC109例、CD58例)のうち免疫調整剤を使用した62例(UC23例、CD39例)を対象とした。AZA使用52例(UC15例、CD37例)、投与量は75mg6例、50mg38例、25mg5例であった。6-MP使用10例(UC8例、CD2例)、投与量は30mg6例、25mg1例、20mg3例、15mg2例、10mg1例であった。副作用が発現した14例(UC11例、CD3例)で発現の頻度、内容、発現時期を検討した。さらに副作用の発現頻度が高かったUCに関しては、臨床的背景因子(性別、年齢、病型、罹患期間、免疫調整剤投与時のPSL投与量)と副作用発現との間の関連性の有無を検討した【結果】副作用はUCで高AMY血症3例、脱毛3例、骨髄抑制4例、肝胆道系機能障害3例、CDで脱毛1例、骨髄抑制1例、肝機能障害2例であった。副作用発現の有無と投与量との間には有意な関連性を認めなかった。副作用発現時期は高AMY血症が4から40日(平均値21.3日)、脱毛は28日から56日(平均値39.0日)であった。骨髄抑制(好中球で1000個/mm3 未満)の発現時期は最短で40日、最長で14カ月(平均値291.2日)であった。全例、休薬か減量により可逆的であり、発熱性好中球減少症や日和見感染などは認めなかった。肝酵素上昇はHSV感染に伴うものが1例、原因不明のものが1例であった。γ-GTPの上昇が2例に認められた。免疫調節剤を使用したUC症例について、臨床的背景因子と副作用発現との間の関連性の有無を検討したが有意な関連性を認めなかった【考察】免疫調整剤を投与を開始する時点において副作用の発現を予見する因子を見出すことは難しい。炎症性腸疾患治療において、当院で使用した免疫調整剤(AZA、6-MP)の投与量の範囲であれば、副作用発現に注意する必要はあるものの、比較的安全に使用できると考えられた。
索引用語 免疫調整剤, 潰瘍性大腸炎