セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎4

タイトル 消P-342:

当院における難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの使用経験

演者 結城 崇史(島根大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 石原 俊治(島根大・2内科), 多田 育賢(島根大・2内科), 岡 明彦(島根大・2内科), 楠 龍策(島根大・2内科), 福庭 暢彦(島根大・2内科), 森山 一郎(島根大附属病院・腫瘍センター), 川島 耕作(島根大・2内科), 天野 祐二(島根大附属病院・光学医療診療部), 木下 芳一(島根大・2内科)
抄録 【目的】タクロリムスは難治性の活動性潰瘍性大腸炎に保険適応となり、使用されるようになってきているが、その使用方法については定まっていないのが現状である。今回、難治性潰瘍性大腸炎に対する経口タクロリムス投与症例について、その背景、効果と安全性について検討した。【方法】当院でタクロリムスを経口投与された難治性潰瘍性大腸炎12症例(男性10例、女性2例、平均年齢32.3±11.8歳)について、臨床背景、投与方法、血中トラフ値、寛解導入率、副作用、予後などを検討した。【成績】臨床背景として12例中、中等症8例、重症4例で、ステロイド抵抗性3例、依存性9例だった。タクロリムス投与前にInfliximab使用した症例はなかったが、既に5例がイムランを投与されていた。タクロリムス投与中に5例でG-CAPが併用されていた。タクロリムス投与開始時に絶食の症例は50%で、重症例では全例絶食下で投与されていた。食事摂取期間では、タクロリムスを食前投与としていたのは50%だった。初期投与量は9例が0.025mg/kg付近、3例が0.05mg/kg付近で調節されていた。血中トラフ値が10以上となる期間は平均7.4日だったが、初期投与量が0.05mg/kg群では5.7日、絶食下で投与開始されていた群は7日と短い傾向があった。投与終了時の寛解導入率は66%で、寛解導入できなかった症例中2例がタクロリムス投与を中止してInfliximabに移行した。副作用は腎機能悪化、低マグネシウム血症など75%に認めたが、減量などにて対応し、全例で軽快した。3か月投与後平均観察期間は125日で、2例に再発を認めたが、1例はタクロリムス再導入、1例はステロイド注腸にて再度寛解導入できた。【結論】タクロリムス投与はステロイド抵抗性及び依存性の難治性潰瘍性大腸炎に有効であった。しかし、さまざまな検討点、問題点があり、投与方法の工夫も含めて、さらなる検討が必要と考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス