セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
潰瘍性大腸炎4
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タイトル |
消P-343:当院におけるステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの使用経験
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演者 |
渡邊 龍之(産業医大・3内科) |
共同演者 |
久米 恵一郎(産業医大・3内科), 芳川 一郎(産業医大病院・内視鏡部), 原田 大(産業医大・3内科) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法としてタクロリムスが加わり選択の幅が広がったが、その位置づけや効果予測因子に関しては見解が得られていない。当院においてタクロリムスを使用したステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎の患者について治療効果、副作用について検討した。【方法】2009年9月から2011年1月までにタクロリムスを投与した中等症~重症のステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎患者8例について、タクロリムス投与前後のCAI score、粘膜所見、副作用について検討した。初回投与量は、1日2回、0.05 mg/kg/回とし、投与開始後2週間は目標血中トラフ濃度を10~15 ng/mlとして調節、以後は目標トラフ濃度を5~10 ng/mlとした。原則として投与は3ヶ月までとした。【結果】病型は左側大腸炎型1名、全大腸炎型7名であった。前治療は全例にステロイド、5ASA、2例にアザチオプリン、1例にインフリキシマブであった。投与4週後での臨床的寛解は8例中7例、内視鏡的寛解は6例であった。無効例の1例は大腸全摘術を施行された。臨床的寛解に至った7例中3例が再燃した。そのうち2例は内視鏡的寛解に至らなかった症例でタクロリムス投与中または投与後早期に再燃した。1例は内視鏡的寛解に至ったが、アザチオプリンを自己中止後再燃し、タクロリムス再投与で寛解導入後6MPを投与し経過良好である。副作用は四肢のしびれ1例、高血糖1例、低マグネシウム血症を7例に認めたがテタニーを認めた1例を除いて無症状であった。【結語】3ヶ月の投与期間において重篤な副作用は認めなかった。タクロリムスの臨床的寛解導入率は87%と良好であったが投与中止後44%が再燃した。臨床的寛解に至っても、粘膜治癒に乏しい症例は高率に再燃する可能性が高いと思われた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, タクロリムス |