セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎4

タイトル 消P-344:

難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの寛解導入効果

演者 高橋 広喜(国立仙台医療センター・消化器科)
共同演者 岩渕 正広(国立仙台医療センター・消化器科), 杉村 美華子(国立仙台医療センター・消化器科), 菅原 かおり(国立仙台医療センター・消化器科), 真野 浩(国立仙台医療センター・消化器科), 鵜飼 克明(国立仙台医療センター・消化器科), 田所 慶一(国立仙台医療センター・消化器科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)の新たな治療法としてタクロリムスの有効性が報告されている。当科では以前より中等症までの再燃時の治療として、外来での白血球除去療法を行い、効果の不十分な場合にステロイドを投与していた。今回従来の寛解導入療法で改善が得られない症例に対しタクロリムスの治療効果について検討した。【方法】2010年1月より2011年3月までにステロイドや白血球除去療法にて寛解導入が困難であったUCに対しタクロリムスを投与した9例(男性6例、女性3例)を対象とした。通常初回投与量を1回0.025mg/kgとし投与開始2週間の血中トラフ濃度を10-15ng/mlに設定し、2週以降のトラフ濃度は5-10ng/mlを目標に調節した。内服は絶食下または食前60分にて治療を行った。治療前、治療後2週、4週、12週以後についてLichitiger Indexを用いて活動性を評価した。【結果】2週目までに全例スコアは低下し、6例(67%)は寛解導入され2例(22%)は改善と判断した。不変であった1例もその後に改善を認め、4週以降では9例全例で寛解もしくは改善を示した。全ての症例は投与3か月で内服を終了し、可能な症例でAZA/6MPの内服を追加した。3カ月以降の長期奏功率は2例(22%)で再燃し、これらの症例はインフリキシマブによる寛解導入治療を行い現在外来で治療継続中である。ステロイドを使っていた症例は、タクロリムスを開始後は全例減量から中止することが可能となった。タクロリムスによる有害事象については、手指振戦、頭痛、吐気をそれぞれ1例認めたがどれも治療を中断する程の副作用は認めなかった。【結論】タクロリムスは難治性UCに対する寛解導入治療法としてかなり期待が持てる結果を得ることが出来た。今後UC再燃時に白血球除去療法やステロイドの効果が不十分と判断したなら早めにステロイドからタクロリムスへスイッチするほうが早期に寛解導入出来ると思われた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス