共同演者 |
鈴木 英之(岡山大・消化器・肝臓内科学), 斉藤 俊介(岡山大・消化器・肝臓内科学), 平川 智子(岡山大・消化器・肝臓内科学), 高橋 索真(岡山大・消化器・肝臓内科学), 秋田 光洋(岡山大・消化器・肝臓内科学), 加地 英輔(岡山大・消化器・肝臓内科学), 加藤 順(和歌山県立医大・2内科), 岡田 裕之(岡山大病院・光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大・消化器・肝臓内科学) |
抄録 |
【背景】Calcineurin inhibitor(CNI)は,難治性潰瘍性大腸炎に使用され,寛解率,手術の回避率も高い.一方,CNIは通常数か月で中止し,その後再燃する症例もあるが,再投与時にも初回投与時と同様の効果が得られるかはわかっていない.そこで当科におけるCNI治療症例の効果の検討と2回CNIを寛解導入に使用した症例に関し,初回投与時と再投与時を比較しその効果を検討した.【対象】2004年1月から2010年12月に当科でCNIを投与した,のべ49例.【結果】1.初回投与42例(CSA:FK506 19:23)の検討:患者背景は男:女20:22,年齢37.3(12-70)歳,重症:中等症 23:19,CAI 12.4(8-19)であり,寛解率は32/42(76%)であった.また観察期間1062日(190-3147日)での再燃率は10/32(31%)であった.再燃の危険因子として,年齢,性別,投与開始時重症度,寛解までの日数,Immunomodulator(IM)継続内服に関し,多変量解析を行ったところ,有意であったのはIM継続内服のみであった(OR 0.07,95%CI 0.003-0.83;p=0.03).2.再投与例の検討:再燃し同種のCNIを投与した症例は7例であり,寛解例は1例のみで,有効1例,他の5例はすべて無効であった.再投与例に関して,初回と再投与時の臨床背景を比較したところ,重症度,CAIに有意差はないが,併用薬はPSLを初回全例,再投与4例に,IMは初回は投与例はなく,再投与時は4/6例と差を認めた.初回時と再投与時の最大投与量,最大トラフ値に関して比べたところ,CSAでは差を認めなかったが,FK506では再投与時の方が投与量は多いが,トラフは低い傾向にあった.また再投与例無効群のうち2例は手術を,寛解・有効の症例も早期に再燃,悪化し,抗TNFα抗体などの他治療を要した.【結語】CNIは初回投与時には高い寛解導入率を示すが,中止後の寛解維持にはIM投与が必須である.また,再燃後のCNI再投与による寛解率は極めて低く,CNIにて寛解後の再燃症例は,CNI以外の治療,抗TNFα抗体,手術の選択が望ましい. |