セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎5

タイトル 消P-351:

潰瘍性大腸炎に対するインフリキシマブ治療の効果予測

演者 北村 和哉(金沢大附属病院・消化器内科)
共同演者 加賀谷 尚史(金沢大附属病院・消化器内科), 金子 周一(金沢大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】本邦の潰瘍性大腸炎症例は11万人を超え、今後も増加が予想される。しかしその病態は未だ明らかでなく、治療に難渋することもしばしばある。2010年6月より潰瘍性大腸炎に対するインフリキシマブ(IFX)治療が保険適用となり治療の選択肢が増えたが、どの症例にIFXが有効か事前に予測する方法は確立されていない。本研究では、IFX治療前のサイトカイン値がIFX治療効果予測に有用かを検討した。【方法】2010年6月以降、当科でIFX治療を施行された中等症以上の潰瘍性大腸炎症例、7例を対象とした。対象症例の内訳は、男性4例、女性3例、平均年齢41.9歳(28-69歳)であった。病型は全大腸炎型3例、左側大腸炎型4例で、平均病悩期間は13.3年(5-36年)であった。IFX治療直前の平均Lichtiger scoreは9点(8-11点)であった。IFX投与前に血清を採取し、BioPlex (Bio-Rad社)にて17種類のサイトカイン・ケモカイン (IL-1β, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 10, 12p70, 13, 17, G-CSF, GM-CSF, IFN-γ, TNF-α, MCP-1, MIP-1b)濃度を測定した。治療効果の有無で対象を2群に分け、各サイトカイン濃度を分散分析を用いて比較した。【成績】IFX治療にて有効性を認めたのは4例、無効3例であった。この両群間で、年齢、性別、病型、病悩期間に有意差は認めなかった。測定したサイトカイン・ケモカインのうち、IL-1β, 2, 4, 12p70, GM-CSF, IFN-γ, TNF-αの平均値が無効例で高く、IL-6, 8, 13の平均値が有効例で高かったが、全てで有意差は認めなかった。またIFX有効例では、無効例に比しMCP-1が低値となる傾向を認めた(p=0.081)。【結論】潰瘍性大腸炎の治療前血清サイトカイン測定は、治療効果予測に有用である可能性が示唆された。更に症例を増やして検討する必要があると考えられた。
索引用語 炎症性腸疾患, サイトカイン