セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
潰瘍性大腸炎5
|
タイトル |
消P-353:活動期潰瘍性大腸炎寛解導入療法としてのアドレノメデュリン持続静注療法の経験
|
演者 |
稲津 東彦(宮崎大・循環体液制御学) |
共同演者 |
芦塚 伸也(宮崎大・循環体液制御学), 北村 和雄(宮崎大・循環体液制御学) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)の寛解導入治療は、5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節剤、血球成分除去療法、生物学的製剤を用いて行われている。安全性の高い5-ASA製剤、血球成分除去療法では寛解に至らない症例もあり、ステロイドを中心として免疫調節剤、生物学的製剤を使用する。しかし、重症感染症の合併が懸念され、その使用は制限的である。アドレノメデュリン(AM)は強力な血管拡張作用を有する生理活性ペプチドであるが、心血管保護作用、血管新生作用や抗炎症作用などを有する事が判明している。我々は炎症性腸疾患モデル動物に対する腸炎改善効果を報告した。今回、新たな治療法として当大学の倫理委員会で承認を得たAM持続静注療法を試みた。【方法】難治性活動期潰瘍性大腸炎症例に対し、AM持続静注療法(AM 1.5 pmol/kg/min、8時間/日、連続12日間)を施行した。【成績】症例は糖尿病を合併した60代女性。PSL依存性全大腸型UC。イムランを併用し、PSL減量中に症状増悪。全大腸に深掘れ潰瘍、広範粘膜脱落を認め、重症UCと診断。PSL強力静注療法、LCAP、CMV治療を行ったが、寛解が得られなかった。糖尿病合併高齢者で、陳旧性肺結核も疑われ、免疫抑制剤、生物学的製剤の使用を断念。手術療法を念頭に、AM持続静注療法施行。投与中に軽度血圧低下を認めたが、他の有害事象は認めなかった。治療開始後に腹痛、血便は改善し、治療2週後のCSで、潰瘍底および潰瘍辺縁に再生粘膜が増生、遠位大腸の潰瘍は蜘蛛の巣様に瘢痕化し、付近の末梢血管が拡張していた。3ヶ月後のCSでは、大腸病変が瘢痕治癒し、PSL中止後も寛解維持通院中。【結論】UC患者に対するAM投与と効果に関する第一報を示した。AMは生理活性ペプチドで、比較的安全性が高く、炎症性腸疾患に対する新たな治療戦略として期待される。なお、発表時には追加症例に関しても言及する予定である。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, アドレノメデュリン |