セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎6

タイトル 消P-357:

S100A12タンパク抑制を介した潰瘍性大腸炎患者に対するGMA療法の治療効果の検討

演者 加藤 真吾(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
共同演者 可児 和仁(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 高林 英日己(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 山本 龍一(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】血球除去療法のうち顆粒球除去療法Granulocyte and monocyte adsorptive apheresis (GMA)は主に顆粒球・単球を除去することにより腸管炎症を抑制する。これに対して白血球除去療法はリンパ球や血小板なども除去するが、これらの治療法の効果には有意差がないとする報告がある。そこで我々は顆粒球・単球より産生放出されるS100A12タンパクに着目して、潰瘍性大腸炎に対するGMAの作用機序について検討した。【方法】潰瘍性大腸炎患者24名に対しGMA療法を施行した。治療効果の検討はClinical activity index (CAI)により判定した。また、治療前後の血清中のS100A12濃度をELISA法にて測定した。また、潰瘍性大腸炎患者の手術検体を用いてS100 A12およびそのレセプターであるreceptor for advanced glication end products (RAGE)の発現を免疫染色にて検討した。さらにHUVECに対してS100A12を投与して ICAM-1, VCAM-1, IL-8, CCL-2 (MCP-1), CCL5 (RANTES), CXCL9 (IP-10) , CXCL10 (Mig) mRNAの発現をrealtime-PCR法を用いて検討した。【成績】S100 A12の発現は炎症部腸管粘膜においては浸潤細胞に著明な発現の増加を認めた。さらにS100 A12の発現はcrypt abscessに強かった。そのレセプターであるRAGEは炎症部の上皮細胞で発現の増加を認めた。血中のS100A12濃度はCAIと有意な正の相関を認めた(n=34, p=0.02, rs=0.404)。そのうち治療経過の追えた16名(13 名GMA-responder・ 3 名non GMA-responder)のうちGMA-responderでは治療前後で血中S100A12濃度は有意に低下した(pre- vs post- GMA, 1.34±1.08 vs 0.60±0.50, p<0.05)。これに対してnon GMA-responderの3名の血中S100A12濃度は治療前後で徐々に増加した。さらにchemokine mRNAの濃度はS100A12投与により濃度依存性に増加した。【結語】GMA療法の作用機序の1つに活性化した顆粒球の吸着によりS100A12の放出が抑制され、炎症性chemokineの抑制されることが考えられた。
索引用語 GMA, S100A12