セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎6

タイトル 消P-358:

活動期潰瘍性大腸炎に対する成分栄養剤投与の検討

演者 山本 壽恵(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター)
共同演者 須賀 泰世(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 木下 裕人(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 松田 玲圭(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 中戸川 満智子(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 鈴木 紳祐(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 木村 英明(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 国崎 玲子(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 前田 愼(横浜市立大・消化器内科)
抄録 【背景】本邦では腸管安静を要する重症潰瘍性大腸炎(以下UC)に対して,成分栄養剤による栄養管理ではなく,絶食,中心静脈栄養(TPN)管理下に加療を行うことが多い.しかしこの場合bacterial translocationや,感染・血栓等のリスクが避けられず,また近年次々登場した即効性の高い免疫抑制療法により今後重症UCもTPNを回避できる例が増えることが予想される.
【目的】活動期UCに対する成分栄養剤投与による栄養管理の安全性,有用性を検討する.
【方法】2009年4月から2010年12月に入院加療を行ったUC症例のうち,高度の腹痛,顕血便消失を確認した時点で経口成分栄養剤を開始した25例の,腹部症状の変化,認容性,副作用の有無を検討した.
【成績】対象:男性21例,女性4例,年齢:平均36(13~71)歳,罹患期間:平均5.9年,入院時臨床的重症度:重症14例,難治中等症11例.入院時Alb値平均2.9(1.6~4.1)mg/dl,入院時画像診断で,15例で下掘れ潰瘍,広範粘膜脱落など重症病変を認めた.薬物療法:ステロイド22例,Tacrolimus9例,Cyclosporin6例.入院から成分栄養剤導入までの期間は平均8.2日,食事開始まで16.8日,平均入院日数は31日だった.成分栄養剤の1日摂取量は平均600(300~2400)kcalで,12例は半消化態栄養剤を併用した.栄養剤投与後,腹部症状の増悪を認めたのは2例(8%)で,2例に下痢,1例に顕血便を認め栄養剤を中止した.この2例は半消化態栄養剤併用例で,血便の1例は難治のため手術を要した.その他6例に便回数増加や軽い腹痛などを認めたが,いずれも軽微で栄養剤を継続し問題なく食事へ移行した.
【結論】活動期UCに対する成分栄養剤投与は,腹部症状の悪化を認める例は少なく安全に使用できると考えられた.成分栄養剤投与により,TPNの回避と合併症減少,入院期間の短縮につながる可能性もあり,腸管病変の治癒促進の可能性を含め今後も検討を継続したい.
索引用語 成分栄養剤, 潰瘍性大腸炎