セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎7

タイトル 消P-361:

潰瘍性大腸炎における治療反応性からみた手術適応について ~カルシニューリンインヒビターの効果予測を含めて~

演者 馬場 重樹(滋賀医大・消化器内科)
共同演者 安藤 朗(滋賀医大大学院・感染応答・免疫調節部門(消化器免疫)), 今枝 広丞(滋賀医大・消化器内科), 伴 宏充(滋賀医大・消化器内科), 望月 洋介(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 西村 貴士(滋賀医大・消化器内科), 塩谷 淳(滋賀医大・消化器内科), 稲富 理(滋賀医大・消化器内科), 齋藤 康晴(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 佐々木 雅也(滋賀医大・栄養治療部), 辻川 知之(滋賀医大・総合内科), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【目的】当院で経験した難治性潰瘍性大腸炎のうち種々の治療を行ったにもかかわらず、手術に至った症例を後向きに検討する。【方法】1999年12月から2011年3月まで当院で入院加療を要した難治性あるいは中等症~重症潰瘍性大腸炎患者でサイクロスポリン(CSA)やタクロリムス(FK506)などのカルシニューリンインヒビター(CNI)にて寛解導入療法を施行された61例を対象患者とした。患者背景は男性37人・女性24人、平均年齢は33歳(16-62歳)、平均罹病期間は4.2年、CNIの内訳はCSAが51例、FK506が10例であった。CSAとFK506は共に同等の寛解導入率を有していた。61例のうち期間内に手術に至った症例は29例であった。病勢の評価にはSeo indexを使用した。【成績】CNIによる寛解導入療法開始後2週間の時点での有効率は67%であった。治療開始後1年間手術を回避した患者は有意にCNIによる寛解導入療法開始後2週間で50ポイントのSeo indexの低下を認めていた(リスク比 27.75, 95%CI(6.54-117.7))。また、CNIによる寛解導入療法に対する不応性を予測する因子としてC7HRP陽性(リスク比6.188, 95%CI(1.898-20.17))と総ステロイド投与量10,000mg以上(リスク比5.833, 95%CI(1.701-20.00))が導き出された。また、CNI有効例の層別化解析によりアザチオプリン(AZA)を追加された群ではAZA追加のない群と比較し有意に高い手術回避率が得られた(70.5% vs 29.9%, p=0.0368, log-rank)。【結論】当院ではCNI不応が手術のタイミングであると考えられた。CNI不応のリスク因子としてC7HRP陽性と総ステロイド投与量10,000mg以上が挙げられた。また、一旦CNIに対し有効であってもその後AZAの追加投与がなされないと手術にいたる可能性が示された。
索引用語 潰瘍性大腸炎, カルシニューリンインヒビター