セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

潰瘍性大腸炎7

タイトル 消P-363:

高齢者潰瘍性大腸炎手術の検討

演者 磯部 秀樹(山形大・1外科)
共同演者 矢野 充泰(山形大・1外科), 藤本 博人(山形大・1外科), 水谷 雅臣(山形大・1外科), 蜂谷 修(山形大・1外科), 木村 理(山形大・1外科)
抄録 【目的】当科で手術を施行した高齢者潰瘍性大腸炎(以下UC)症例の特徴について検討した。【対象】1985年1月から2010年12月まで当科で手術を施行したUC55症例のうち、65歳以上の高齢者7例を対象とした。【結果】手術時年齢は65歳~89歳(平均72.7歳)、発症年齢は46歳~89歳(平均64.4歳)であった。病脳期間は2ヶ月~296ヶ月(平均101ヶ月)であった。術前のステロイド投与総量は0~33,650mg(平均11,570mg)、白血球除去療法は4例(57%)に行い、免疫抑制剤は3例(42%)に使用した。7例中6例は待機手術で、1例は緊急手術であった。待機手術の6例の手術適応は難治性3例、ステロイド性骨粗鬆症による副作用2例、癌合併1例であった。このうちステロイド総投与量が10,000mgを超えた症例は2例であった。緊急手術症例は発症から2ヶ月で急性増悪した、89歳女性の症例であった。術前合併症として7例中4例に心疾患があり、いずれも70歳以上であった。手術術式は、緊急手術1例を含む70歳以上の4例に大腸全摘・永久回腸人工肛門造設術を施行した。60歳代の3例には肛門温存手術を行い、いずれもIAA(内HALS下2例)を行った。術後合併症は、緊急手術を施行した症例で術後呼吸不全、腎不全を併発し、手術より8か月後に在院死となった。待機手術の症例はいずれも術後合併症なく予後良好で生存中である。【結語】高齢者潰瘍性大腸炎は長期経過例でステロイド投与量が増大、骨粗鬆症の合併さらにcolitic cancerの危険度が高くなる。当科では術前合併症および術後のperformance statusを考慮し、70歳以上の高齢者に対しては直腸切断を含む大腸全摘術、永久回腸人工肛門造設術を行っており、その術後経過は良好であった。しかし緊急手術例では合併症から死亡に至っており、内科的治療から外科的治療へのタイミングを逸することなく手術を行うことが重要と思われた。
索引用語 高齢者, 潰瘍性大腸炎