セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-腫瘍1

タイトル 消P-365:

ラット大腸化学発癌に与える骨髄由来間葉系幹細胞の影響

演者 勝野 貴之(大阪市立大・消化器内科)
共同演者 越智 正博(大阪市立大・消化器内科), 富永 和作(大阪市立大・消化器内科), 町田 浩久(大阪市立大・消化器内科), 岡崎 博俊(大阪市立大・消化器内科), 谷川 徹也(大阪市立大・消化器内科), 山上 博一(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 俊雄(大阪市立大・消化器内科), 藤原 靖弘(大阪市立大・消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【背景】 骨髄由来間葉系幹細胞 (BM-MSC) は自己複製能や多分化能を有し、生体内に投与することで組織傷害部位に集積する性質を持つことから再生医療の分野で注目されている。一方で、BM-MSC自身の悪性転化や、樹立化癌細胞を用いた移植モデルにおいて腫瘍の増大や転移に関与していることが報告され、安全性への懸念が示されている。そこで、ラット大腸化学発癌モデルにおいて、腫瘍発生時期でのBM-MSCの投与が、どのような影響を与えるのかについて検討した。【方法】雌性Fisherラット7週齢を用いて、既報にある1-2 dimethylhydrazine (DMH) (40 mg/kg, 3回/週)と1% dextran sodium sulfate (DSS) (1週間、自由飲水)とを用いた大腸化学発癌モデルにおいて検討した。BM-MSC は、雄性Fisherラット7週齢の大腿骨・脛骨より採取し培養した。5継代後、フローサイトメトリ―にて表面マーカーを確認したBM-MSCを使用した。1). 腫瘍発生が確認される第15週目にBM-MSC を経静脈投与し、第25週目で腫瘍の個数・大きさの評価を行った。2). BM-MSCの腫瘍局所集積として、PKH67で標識したBM-MSCを第25週目に経静脈投与し、第26週目に蛍光顕微鏡にて観察した。3). ラット大腸癌細胞 (ACL-15) とBM-MSC を混合し、BALB/c nude mouseに皮下移植し腫瘍サイズを評価した。【結果】1). BM-MSC を経静脈投与した群は非投与群に比較し、腫瘍サイズは増大していた (p=0.048)。しかし、発生した腫瘍の個数に差は認められなかった。2). PKH67でラベルしたBM-MSC は腫瘍結節の間質に認められた。3). BM-MSCを混合し皮下移植した腫瘍は、ACL-15単独群と比較し有意に増大していた (p=0.021)。【結論】ラット大腸化学発癌モデルにおいて、腫瘍発生時期に投与されたBM-MSCは、腫瘍局所に集積し腫瘍を増大させる可能性が示唆された。
索引用語 間葉系幹細胞, 大腸化学発癌