セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-腫瘍1

タイトル 消P-368:

大腸腫瘍の発育進展過程における早期DNA損傷修復応答の検討

演者 高林 広明(新潟大大学院・分子・診断病理学)
共同演者 味岡 洋一(新潟大大学院・分子・診断病理学), 若井 俊文(新潟大大学院・消化器・一般外科学)
抄録 【目的】癌の発生過程では前癌病変よりDNA二重鎖切断が生じ、DNA損傷応答が活性化している。in vivoでは、DNA2重鎖切断部でヒストン蛋白H2AXがリン酸化され(γH2AX)、53BP1などのDNA修復関連蛋白と複合体を形成する。これがDNA損傷応答の初期反応であり、蛍光免疫組織化学(IF)では核内に点状に発現したγH2AXと53BP1の共局在として示される。本研究の目的は、大腸腫瘍の発育進展過程とDNA損傷およびDNA損傷応答との関連を明らかにすることである。【方法】腺腫・粘膜内癌96例、浸潤癌56例、およびその周囲非腫瘍粘膜50領域を用いた。免疫組織化学(IHC)では、γH2AXの核内発現パターンおよびlabeling index (LI)を評価した。IFではγH2AXと53BP1の共局在率(γH2AXが点状に発現している細胞のうち、53BP1が共局在している細胞の割合)を評価した。【成績】γH2AX発現パターンは、発現なし(null)、点状(foci)、び慢性(pan-nuclear)および後2者のいずれもみられるもの(mix)に分類された。すなわち、非腫瘍粘膜はすべて発現がを認めないnull patternであったのに対し、腺腫・粘膜内癌(null: 70.8%, foci: 9.4%, mix: 7.3%, pan-nuclear:12.5%)および浸潤癌(37.5%, 5.4%, 30.3%, 26.8%)と発現パターンに有意差が認められた(p<0.001)。後2者の間で、LIには有意差は認められなかった(4.7% vs 6.7%, p=0.175)。共局在率は、腺腫・粘膜内癌(87.2%)に比べて、浸潤癌(51.6%)において有意に低かった(p<0.001)。【結論】大腸癌の発生過程においては、腺腫・粘膜内癌よりDNA二重鎖切断が生じDNA損傷応答が活性化するが、浸潤癌ではDNA損傷応答が破綻している。
索引用語 DNA damage, 53BP1