セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-腫瘍1

タイトル 消P-369:

腺管分離DNAを用いた大腸進行癌のコピー数変化、遺伝子メチル化、遺伝子変異の解析

演者 澤田 武(札幌医大・分子生物学DELIMITER聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 鈴木 拓(札幌医大・分子生物学DELIMITER札幌医大・1内科), 山本 英一郎(札幌医大・分子生物学), 神前 正幸(札幌医大・分子生物学), 豊田 実(札幌医大・分子生物学), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 菅井 有(岩手医大・分子診断病理学)
抄録 【目的】大腸癌は様々な遺伝子異常の蓄積により進展するとされる。臨床的には根治的手術が行われれば長期生存が期待できるが、遠隔転移を来した場合予後不良である。今回、我々は染色体のコピー数変化の網羅的解析を中心に、遺伝子メチル化、変異解析を行い、ステージとの関連を検討した。【方法】大腸進行癌39例(平均年齢69.0歳、男性24例、女性15例)を対象とした。ステージはDukes分類A 7例、B 5例、C 13例、D 14例であった。病変部と正常粘膜から、腺管分離法を用いてDNAの抽出を行った後、comparative genomic hybridization(CGH)マイクロアレイ法を用いてゲノムワイドなコピー数解析を行った。加えて、代表的なメチル化マーカーを用いて異常メチル化の検出を、更に20例に関してはmethylated CpG island amplification(MCA)マイクロアレイ法を用いて網羅的なメチル化解析を行った。また代表的なp53、K-ras、BRAF遺伝子の変異解析を行った。【成績】腺管分離DNAを用いて全ての解析を行い得た。従来、報告されてきた8p、18qの欠失、7pq、13q、20qの増幅は本研究においても高頻度に観察された。染色体の増幅はDukes AからCまで増加し、Dで減少した。一方、欠失はステージの進行に伴い増加し、欠失の蓄積が腫瘍の進展に重要であることが示唆された。クラスター解析を行ったところ、病変はコピー数変化によって4群に分類された。欠失、増幅の少ない1群、欠失が優位な2群、欠失と増幅が混在する3群、増幅が優位な4群である。特に欠失が多い2群には、遠隔転移を来した症例(Dukes D)が多く含まれた。1群には異常メチル化が多い例、K-ras遺伝子変異例が多く含まれた。【結論】少数例の検討ではあるが、染色体のコピー数変化を検出しクラスター解析を行うことにより、ステージの進行した予後不良例を絞り込める可能性が示唆された。
索引用語 大腸癌, 遺伝子