セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸-腫瘍2
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タイトル |
消P-372:大腸腫瘍の悪性度とmicroRNA-143, -145, -7の発現
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演者 |
中川 義仁(藤田保健衛生大・消化管内科) |
共同演者 |
赤尾 幸博(岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科・創薬科学), 釜谷 明美(藤田保健衛生大・消化管内科), 丸山 尚子(藤田保健衛生大・消化管内科), 高木 篤(協立総合病院・内科(消化器)), 高城 武嗣(北摂総合病院・一般・消化器外科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科) |
抄録 |
【目的】microRNA (miRNA)は22-25ヌクレオチドの小さな機能性RNAで、標的となるmRNAと結合して翻訳調節をすることから、その破綻は疾患と深く関連する。我々はこれまでに大腸腫瘍症例とヒト大腸癌培養細胞株を解析し、大腸の腫瘍組織においてmiR-143、miR-145が共に高率に発現低下し、miR-7が大腸癌において高率に発現増加することを見出し報告してきた。今回我々は、大腸腫瘍におけるmiR-143,-145,-7の発現について臨床検体を用いて解析し、大腸腫瘍の悪性度との関連ついて報告する。【方法】大腸癌96例、大腸腺腫91例を用いてmiR-143, -145, -7の発現を調べた。大腸癌の悪性度に関しては進達度、進行度を用いて評価した。【成績】miR-143は大腸癌69例(71.9%)、大腸腺腫66例(72.5%)で、miR-145は大腸癌75例(78.1%)、大腸腺腫67例(73.6%)で発現が低下し、miR-7は大腸癌63例(65.6%)、大腸腺腫23例(25.3%)で発現が増加していた。miR-143,-145の発現低下は進達度や進行度の関連は少なく、腺腫の時期から高頻度に認められた。miR-7の発現増加は進達度M、進行度0では5/17例(29.4%)と大腸癌の中では低く、腺腫に近い頻度であった。miR-7の発現増加は進達度SM以深、進行度1以上では進行度や進達度に相関しないものの50%以上であり高頻度であった。【結論】多くの大腸腺腫、大腸癌症例でmiR-143, -145が共に低発現を示し、miR-7は大腸癌の進達度SM以深、進行度1以上で高発現であった。miR-143, -145の発現は大腸腫瘍の診断に、またmiR-7の発現は大腸癌の治療方針決定の際に有用であると考えられた。以上の結果はmiRNAが新しい腫瘍マーカーとなりうる可能性を示唆している。 |
索引用語 |
microRNA, 大腸癌悪性度 |