セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-腫瘍2

タイトル 消P-374:

散発性大腸発癌におけるIL-6シグナルの解析

演者 内山 崇(茅ヶ崎市立病院・消化器内科DELIMITER横浜市立大大学院・分子消化管内科学)
共同演者 高橋 宏和(横浜市立大大学院・分子消化管内科学), 酒井 英嗣(横浜市立大大学院・分子消化管内科学), 細野 邦広(横浜市立大大学院・分子消化管内科学), 遠藤 宏樹(横浜市立大大学院・分子消化管内科学), 中島 淳(横浜市立大大学院・分子消化管内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患において大腸癌の罹患率が高いことが知られているが,炎症性サイトカインの1つであるIL-6が関与していること明らかにされつつある.一方で炎症性発癌でなく,散発性大腸癌とIL-6の関連については未だ十分に検討されていない.本研究では大腸発癌過程におけるIL-6シグナルの役割を検討した.【方法】横浜市立大学附属病院で大腸内視鏡検査を施行し大腸癌,大腸腺腫と診断されたそれぞれ30例を対象とし,正常大腸と診断された症例をコントロールとした.それぞれの群における,血清IL-6値を測定し解析した.また大腸腫瘍局所でのIL-6発現および,IL-6受容体コンポーネントであるgp130の発現・活性化とIL-6産生に関与するケモカイン,CXCL7および,そのレセプターCXCR2の発現を解析した.【成績】血清IL-6値,組織IL-6発現量はコントロール,腺腫群間に差はないが癌群で有意に上昇していた.gp130リン酸化も同様にコントロール,腺腫群間に差はないが癌群で有意に上昇していた.CXCL7およびCXCR2発現もコントロール,腺腫群間に差はないが癌群で有意に上昇していた.【結論】散発性大腸発癌においては癌になると初めて血清IL-6値および,組織発現量が増加しgp130リン酸化を経て細胞内シグナルを活性化させることが示唆された.癌局所でのIL-6の増加にはIL-6,CXCL7より形成されるポジティブフィードバックが関与している可能性がある.炎症性腸疾患からの発癌のみならず,散発性大腸発癌においてもIL-6シグナルが腫瘍発育に関与することが明らかとなれば,このシグナルをターゲットとした大腸癌の予防・治療に臨床応用されること可能性がある.
索引用語 大腸癌, IL-6