共同演者 |
藤井 哲郎(横浜市立大・消化器内科), 山田 英司(横浜市立大・消化器内科), 大久保 秀則(横浜市立大・消化器内科), 日暮 琢磨(横浜市立大・消化器内科), 酒井 英嗣(横浜市立大・消化器内科), 飯田 洋(横浜市立大・消化器内科), 細野 邦広(横浜市立大・消化器内科), 遠藤 宏樹(横浜市立大・消化器内科), 古出 智子(横浜市立大・消化器内科), 稲森 正彦(横浜市立大・消化器内科), 阿部 泰伸(横浜市立大・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】大腸がんのリスクファクターとして肥満および内臓脂肪型肥満は確実な因子である. 肥満の指標には体重, BMI, 内臓脂肪面積などが用いられているが, 本検討ではBMIによる大腸腺腫および直腸aberrant crypt foci (ACF)の比較検討を目的とした.【方法】2004年から2011年まで当院で下部消化管内視鏡検査を行った973例を対象とした.これらをBMIにより <18.5, 18.5-23, 23-25, 25-30, 30<の5群に分け腺腫径, 個数, ACFの個数, および生活習慣因子の相関を統計学的に解析した.【成績】体重, ウエスト周囲径, 皮下脂肪, 内臓脂肪有意に相関した. 平均年齢は63歳で群間に差はなかった. 腺腫径および数に相関を認めなかった. ACF有意に増加を認めた. 同意の得られた241例で検討したところ血清レプチン値は有意に増加し, アディポネクチンは減少する傾向にあった. IGF-1は有意差を認めなかった.【結論】本検討においては大腸腺腫径および数にBMIとの相関を認めなかった. ACFでは相関を認めたことから, BMIを指標とした肥満はより早期の大腸発がんに寄与している可能性が示唆された. 欧米人ではBMI 25未満は大腸がんのリスクがないものと考えられるが, アジア人ではBMI 23-25からリスクとなることが報告されている.糖尿病や虚血性心疾患などもBMI 23から増加することより, 大腸がんや腺腫の既往のあるハイリスク群においては, 肥満に対する管理をより厳格にすることが求められている. |