セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸-腫瘍4 |
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タイトル | 消P-386:Lynch症候群の臨床的特徴とそのスクリーニングにおけるAmsterdam基準II、改定Bethesdaガイドラインの有用性 |
演者 | 朝山 雅子(埼玉県立がんセンター・消化器内科) |
共同演者 | 角田 美穂(埼玉県立がんセンター・腫瘍診断・予防科), 高橋 朱美(埼玉県立がんセンター・腫瘍診断・予防科), 沼野 剛(埼玉県立がんセンター・腫瘍診断・予防科), 石窪 力(埼玉県立がんセンター・消化器内科), 山口 研成(埼玉県立がんセンター・消化器内科), 西村 ゆう(埼玉県立がんセンター・病理診断科), 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 西村 洋治(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 赤木 究(埼玉県立がんセンター・腫瘍診断・予防科) |
抄録 | 【目的】Lynch症候群(LS)は遺伝性大腸癌のうち最も頻度が高く、欧米では全大腸癌の2~5%と報告されている。Mismatch repair (MMR) 遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)変異を原因とする常染色体優性遺伝症候群で、大腸癌の若年、多発発症のほか、LS関連腫瘍(子宮内膜癌、小腸癌、腎盂・尿管癌)の高リスクを臨床的特徴とする。大腸癌患者からLSを拾い出し、十分な経過観察や家族の遺伝カウンセリングを行うことは癌の二次予防として重要であるが、全大腸癌のMMR遺伝子変異を調べることは困難である。そのため、本邦ではLSのスクリーニングにAmsterdam基準II(AC)、改定Bethesdaガイドライン(RBG)が用いられるが、近年これら臨床基準の有用性を疑問視する報告が欧米からなされている。今回我々は本邦におけるLSの臨床的特徴を明らかにし、これら臨床基準の有用性を検討した。【方法】当院で切除された大腸癌検体を全例MSI検査でスクリーニングし、MSI-H症例に対してMMR遺伝子変異を精査することでLSの診断を行った。同時にそれら患者の診療録より臨床データを抽出し、AC、RBGを判定した。【成績】大腸癌手術症例944例(949腫瘍)のうち11例(1.17%)にMMR変異を認めLSと診断した。大腸癌手術時の平均年齢は52.2 (40-73) 歳、男8例、女3例であった。11例中5例(45.5%)に多重癌が発生し、うち2例でLS関連腫瘍(子宮内膜癌、小腸癌)を認めた。また、944例中AC、RBGを満たしたのは6例、227例で、そのうちの2例、7例がLSであった。AC、RBGの感度 / 特異度はそれぞれ、18.2 / 96.2 %、63.6 / 75.2%であった。【結論】大腸癌をきっかけに診断されたLSの半数近くに多重癌を認めることから、LS診断の重要性が認識される。しかしながら、AC、RBGによるスクリーニングは感度が悪く、適切なスクリーニング方法の開発が必要である。 |
索引用語 | Lynch症候群, 大腸癌 |