共同演者 |
佐竹 立(むつ総合病院・内科), 山居 聖典(むつ総合病院・内科), 珍田 大輔(むつ総合病院・内科), 岡本 豊(むつ総合病院・内科), 相馬 悌(むつ総合病院・内科), 千葉 裕樹(青森市民病院・3内科), 川口 章吾(青森市民病院・3内科), 佐々木 義雄(青森市民病院・3内科), 和田 豊人(青森市民病院・3内科) |
抄録 |
【目的】右側癌の臨床病理学的的特徴と治療成績から郭清効果を検討した.【方法】1982-2006年に青森市民病院で経験した右側癌初回手術692例について1982-1996年の274例を前期症例,1997-2006年の418例を後期症例と定義し,後向きに比較した.【成績】前期に比べて後期では高齢化(66.1歳 vs 69.4歳),治癒切除率の向上(70% vs 82%)がみられた.便潜血検査(8% vs 18%),大腸検査(5% vs 13%)が発見のきっかけとなる例は後期で有意に(p<0.05)増加した.その結果,後期のm,sm癌比率は倍増し(12% vs 25%),SE癌比率は減少した(29% vs 18%).治癒切除例のリンパ節(以下,LN)転移率は前期37%(71/192),後期30%(103/343)であり,領域別には結腸傍LN 20%(106/535),中間LN 8%(43/535),主LN 5%(25/535)である.壁深達度別のLN転移率はm,sm,mp癌で8%であり(13/156),すべて腸管傍LNまたは中間LNに限局していた.SS癌のLN転移率は39%(97/248)で,中間LN転移9%(23/248),主LN転移5%(12/248)である.SE癌のLN転移率は50%(58/116)と高く中間LN転移12%(14/116),主LN転移10%(12/116),SI癌のLN転移率は40%(6/15),主LN転移8%(1/12)であった.LN転移例の領域別平均転移個数は結腸傍LN 1.8個,中間LN 3.0個,主LN 4.6個,跳躍転移2.5個である.治癒切除例の転移範囲別累積5年生存率は転移なし90%(n=361), 結腸傍LN 転移77%(n=106),中間LN転移74%(n=43),主LN転移76%(n=25)であり,領域リンパ節個数の比較では1-3個転移81%(n=126),>3個転移51%(n=23)と多数個転移の予後が有意に不良(p<0.05)であった.【結論】SS以深の進行癌は腸管傍LNだけでなく約10%は中間LN,約5%は主LNに分布し転移個数が少なければ郭清効果は良好である.従って確実なD3郭清は右側癌の成績向上に欠かせない.一方,転移があっても80%近い累積5年生存率が得られるので,術後補助化学療法を欧米ガイドラインにすべて習うべきでないことは明白となった. |