セッション情報 |
パネルディスカッション3(肝臓学会・消化器病学会合同)
自己免疫性肝炎-重症・難治例の現状と対処法
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タイトル |
消PD3-12:自己免疫性肝炎肝不全に対する肝移植の現状
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演者 |
冨樫 順一(東京大・人工臓器・移植外科) |
共同演者 |
菅原 寧彦(東京大・人工臓器・移植外科), 國土 典宏(東京大・人工臓器・移植外科) |
抄録 |
【目的】本邦の自己免疫性肝炎は、ステロイド抵抗例の重症肝炎あるいは急性肝不全症例において生体肝移植が良い適応となるが、その実施数はかなり限定され、長期成績含め不明な点がいまだ多いのが現状である。東京大学における自己免疫性肝炎の生体肝移植の成績を検討した。【方法】1996年から2011年3月までに当科で施行した肝移植502例(生体485例、脳死17例)中、AIH症例18例(生体17例、脳死1例)を対象とした。5例(29%)がPBCを合併しoverlap症例であった。術後は他疾患と同様、免疫抑制剤プログラフとステロイドの2剤併用療法管理としたが、AIH症例はtarget上限での血中濃度コントロールに留意した。検討項目は、肝移植後の生存率 、ACR累積発症率とした。【結果】AIH症例の平均年齢中央値は49歳、術前ステロイド治療は9例53%に投与されていた。術後平均観察期間は6年2か月であった。全体の生存率は移植後1年で88.2%、5年生存率で81.9%と良好であり、AIH以外での肝移植群(n=483)の生存率、1年91%、5年85%と比較しても有意な差は認めなかった。(logrank検定,P=0.80)。拒絶反応は肝生検によって診断し10例(59%)に発生し、AIH以外の群と比較して、その発症率は有意に高くACR累積発症率は移植後2週間で23%、1か月で35%であった(logrank検定,P<0.01)。拒絶反応に対する治療はステロイドパルス療法を標準とし、軽快後はメチルプレド二ゾロンを20mgで数か月固定し漸減することで直後の再燃は認めなかった。【結論】自己免疫性肝炎の重症化に対して、脳死および生体肝移植は良好な生存率を可能にし、重要な治療選択肢となりうる。 |
索引用語 |
肝移植, 自己免疫 |