セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-腫瘍5

タイトル 消P-393:

高齢者腹腔鏡下結腸癌手術の腫瘍学的アウトカムの検討(64歳以下と75歳以上の比較)

演者 中村 隆俊(北里大・外科)
共同演者 小野里 航(北里大・外科), 佐藤 武郎(北里大・外科), 池田 篤(北里大・外科), 内藤 正規(北里大・外科), 小倉 直人(北里大・外科), 大木 暁(北里大・外科), 渡邊 昌彦(北里大・外科)
抄録 背景/目的 高齢者に対する腹腔鏡下大腸癌手術の長期的なアウトカムは未だ不明確である.75歳以上の高齢者に対する腹腔鏡下結腸癌手術の成績を,臨床病理学的に背景の同じ64歳以下の腹腔鏡下結腸癌手術例と比較し,高齢者に対する腹腔鏡下結腸癌手術の妥当性について検討した.対象/方法 1995年から2006年までの間に,Stage1~3結腸癌のうち腹腔鏡下手術を施行した症例で,性別,占居部位,pTNM stageをマッチングできた75歳以上結腸癌患者(高齢者群)74例と,64歳以下結腸癌患者(若年者群)74例の腫瘍学的アウトカムを比較検討した. 結果 高齢者群は,若年者群に比べて,年齢が有意に高く(p<0.001),American society of anesthesiologists (ASA) scoreも高かった(p=0.001).高齢者群と若年者群の観察期間の中央値は,それぞれ76ヶ月と66ヶ月で有意差は認めなかった.術後合併症率は高齢者群では11%(8/74例),若年者群は7%(7/74例)で有意差は認めなかった.また,再発率は高齢者群では18%(13/74例),若年者群は9%(7/74例)で有意差は認めなかった.初発再発形式には,両群間に有意差はなく,両群ともポート部再発も認めなかった. Stage1,2の場合は,無再発生存率および全生存率は高齢者群で,100%,95.6%,若年者群では,100%,95.8%で両群に有意差は認めなかった.また,Stage3の場合でも,無再発生存率および全生存率はそれぞれ,高齢者群,76.7%,88.5%,若年者群78.9%,88.5%で両群に有意差は認めなかった.結論我々の単一施設での腹腔鏡下結腸癌手術における術後合併症と長期的な腫瘍学的アウトカムは,高齢者群と若年者群で同等であったことから,75歳以上の腹腔鏡下結腸切除術の妥当性が明らかとなった.
索引用語 腹腔鏡下手術, 高齢者