セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-治療(化学療法)1

タイトル 消P-395:

大腸癌肝転移に対する術前化学療法後肝切除の治療成績

演者 藤田 秀人(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 中村 慶史(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 木下 淳(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 尾山 勝信(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 谷 卓(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
抄録 【目的】当科において術前化学療法(NAC)を実施した大腸癌肝転移に対する肝切除術の治療成績について報告する。肝転移の治療は耐術可能であれば肝切除を原則とし、同時性両葉多発転移あるいは原発高度進行例においてはNACとしてFOLFOX±Bevacizumab(BV)療法を6コース施行し、術後はFOLFOX療法を6コース行う。またNAC非実施例においては、術後FOLFOX療法を12コース行っている。
【対象と方法】2005年から2010年までの初回肝切除37症例中のNACを実施した18例を対象とした。NAC非実施の19例、および周術期FOLFOX療法(術前後あるいは術後のFOLFOX療法)導入以前の1995年~2004年での肝切除66例と治療成績を比較検討した。
【結果】NAC症例の内訳は、平均63歳、肝転移GradeA:11/GradeB:5/C:2例。診断時切除可能例は12例、切除不能例は6例であった。NACレジメンはmFOLFOX6:14例/mFOLFOX6+BV:4例で、治療効果はCR1例/PR12例/SD3例/PD2例で、奏功率は72%であった。術式は葉切除が8例に行われ、術後合併症は5例(横隔膜下膿瘍4例/腸閉塞2例)に認められたが保存的に軽快した。10例(56%)に再発を認め(残肝再発4例/肺再発5例/腹膜播種1例)、3例に再肝切除、1例に肺切除が可能であった。NACの治療効果がPDの2例では術後3ヶ月後の早期再発をきたした。NAC症例の3年無再発生存率(DFS)は35%、3年生存率(OS)は62%で、同時期のNAC非実施例の3年DFS:36%、3年OS:72%と有意差を認めなかった。また周術期FOLFOX療法が実施された37例の5年OS:38%は、2004年以前の5年OS:39% と同等であった。
【考察】切除不能症例における、NACによる肝切除可能例への移行は極めて有効な治療法である。一方で切除可能症例においては手術治療が標準治療であり、PD症例のデメリットから画一的なNACの導入は検討を要する。
索引用語 転移性肝癌, 術前化学療法