セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-治療(化学療法)1

タイトル 消P-396:

治癒切除不能な進行・再発大腸癌に対する当科の治療選択

演者 藤島 弘光(国立鹿児島医療センター・消化器内科)
共同演者 坪内 直子(国立鹿児島医療センター・消化器内科), 千堂 一樹(国立鹿児島医療センター・消化器内科), 軸屋 賢一(国立鹿児島医療センター・消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】当科では、治癒切除不能な進行・再発大腸癌に対して一次治療および二次治療で、オキサリプラチン(L-OHP)あるいはイリノテカン(CPT-11)を含む治療を行い、三次治療が可能な症例では、抗EGF受容体抗体(セツキシマブあるいはパニツムマブ)を用いることを基本方針としている。抗VEGF抗体(ベバシズマブ=BV)は、大腸狭窄や腹膜播種などのない使用が適切な症例には、一次あるいは二次治療で抗がん剤に併用するようにしている。一次治療でL-OHPを用いた群(L-OHP群)とCPT-11を用いた群(CPT-11群)の奏効率、平均生存期間等の差異について検討してみた。【方法】当科で2006年4月から2010年9月までに化学療法導入となった大腸癌症例67例をレトロスペクティブに検討した。【成績】年齢中央値は63.2 (22~82)歳、一次治療でL-OHPを選択した理由はPS不良(PS≧2)、患者の選択、担当医の選択(UGT1A1遺伝子多型など)、多量の腹水貯留、大腸狭窄などであった。一次治療での奏効率は、L-OHP群(46例)で39.1%、CPT-11群(21例)で33.3%であった。二次治療へ移行した症例は、L-OHP群で75%、CPT-11群で79%であった。平均生存期間 (MST) は、全体で20.0ヶ月、L-OHP群で18.3ヶ月、CPT-11群で23.1ヶ月であった。BVを併用した症例は44.8%であった。抗EGF受容体抗体を用いた症例は14例(20.9%)で、奏効率は14.3%、MSTは29.5ヶ月であった。【考察】一次治療での奏効率、二次治療への移行率は、L-OHP群とCPT-11群とで同等であった。MSTは、L-OHP群よりCPT-11群で長い傾向であったが、PS不良、多量の腹水貯留などの高度進行症例がL-OHP群に多かったためと考えられた。抗EGF受容体抗体治療(抗EGF受容体抗体+CPT-11)症例の奏効率が低かったのは、セツキシマブ使用例の後解析でK-RAS遺伝子変異の症例が多かったためと考えられ、抗EGF受容体抗体の使用はガイドラインどおりK-RAS遺伝子野生型の症例に適応と考えられた。
索引用語 大腸癌, 化学療法