セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-治療(化学療法)1

タイトル 消P-397:

化学療法効果の層別化における末梢血循環大腸癌細胞の意義について

演者 河原 秀次郎(東京慈恵会医大柏病院・外科)
共同演者 渡辺 一裕(東京慈恵会医大柏病院・外科), 牛込 琢郎(東京慈恵会医大柏病院・外科), 柳澤 暁(東京慈恵会医大柏病院・外科), 小林 進(東京慈恵会医大柏病院・外科), 柏木 秀幸(東京慈恵会医大・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【緒言】肝・肺などに転移巣を有する消化管癌では末梢血中に癌細胞が検出される症例がみられるが、検出された症例は検出されなかった症例と比較して予後が不良であったと報告されている。我々は切除不能再発大腸癌症例での末梢血循環大腸癌細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)の検出率を明らかにし、化学療法前後のCTC陽性率の変化と化学療法の効果について検討したので報告する。【対象および方法】2010年7月から12月までに経験した同時性・異時性の肝・肺転移症例でK-ras wild type大腸癌症例12例(男10例、女2例)を対象として化学療法前後でCTCを測定した。化学療法のregimenはSOX (TS-1+L-OHP)+ panitumumabを4クール(3カ月)行った。CTC検出にはCellSearch Systemを用いた。【成績】化学療法前のCTC陰性例は4例(33%)で陽性例は8例(67%)であった。CTC陰性の4例は化学療法後もCTCが陰性で血清CEA値の低下もみられ、現在(2011年3月)も化学療法を継続している。CTCが陽性であった8例中4例は、化学療法後陰性になり血清CEA値の低下もみられ、現在も化学療法を継続している。CTCが陽性であった8例中4例は化学療法を行ったがCTCが陽性であり、血清CEA値が増加し、現在までに3例が癌死した。【考察】肝・肺などに多発転移巣を有する患者には、一次転移巣に癌が留まっている症例とさらに転移が生じている症例の2通りが存在する。癌が一次転移巣に留まっている症例および化学療法でCTCが消失した症例は化学療法の効果が得られやすい。一方、化学療法を行ってもCTCが陽性である症例の予後はきわめて不良である。【結語】CTCによる大腸癌患者の化学療法効果の層別化の可能性が示唆された。
索引用語 panitumumab, circulating tumor cell