セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-その他1

タイトル 消P-409:

機能性消化管障害としての右下腹部痛(回盲弁症候群)の検討

演者 洲崎 文男(横浜南共済病院・消化器内科)
共同演者 寺田 昌弘(横浜南共済病院・消化器内科), 井上 俊太郎(横浜南共済病院・消化器内科), 京 里佳(横浜南共済病院・消化器内科), 石井 寛裕(横浜南共済病院・消化器内科), 天野 歩(横浜南共済病院・消化器内科), 井口 靖弘(横浜南共済病院・消化器内科), 小谷 祥仁(横浜南共済病院・消化器内科), 鹿野 千行(横浜南共済病院・消化器内科), 岡崎 博(横浜南共済病院・消化器内科)
抄録 【目的】日常診療において慢性または亜急性の右下腹部痛で受診する症例で、器質的な病変を特定できない上に過敏性腸症候群などRome基準に挙げられた疾患にも当てはまらず、対応に苦慮することはまれではない。このような症例には回盲弁の機能が障害されることで生じる回盲弁症候群が含まれていることも予想される。われわれはこのような症例を集積し、臨床的な特徴と経過を検討したので報告する。【方法】右下腹部の慢性または亜急性の疼痛、違和感を主訴に来院し、腹部CT検査または腹部超音波検査および大腸内視鏡を行った症例を対象とした。腹壁由来の症状はカーネット徴候から鑑別した。腹痛の発症形式や既往疾患、腹部の手術歴、受診後の臨床経過についても検討した。一部の症例では硫酸バリウムによる経口小腸造影を行い、盲腸への造影剤到達時間を測定した。【成績】71症例を対象に検討を行った。26症例では器質的疾患が明らかとなり、大腸憩室症、尿路結石、胆道結石、膵癌、卵巣嚢腫が主な要因であった。さらに14症例はROM基準に当てはまる機能性消化管障害と診断された。残る31症例は該当する疾患がなく、9名で右下腹部の手術歴があったがカーネット徴候は陰性であった。強い疼痛を訴えたのは1例のみで、大多数の自覚症状は軽度の鈍痛または違和感であった。病悩期間は平均9.1週で31例中19例は受診後1ヶ月以内に、3カ月後には24例で自覚症状が消失した。小腸通過時間は4症例で測定し盲腸への到達時間は平均14.3分と短時間であった。また3例では大腸内視鏡検査時に盲腸での送気操作で疼痛の訴えがあった。【結論】原因が特定できない右下腹部痛例には局所の手術歴がある群と要因が全く不明で回盲弁症候群が疑われる群が存在し、一部の症例では盲腸への排出亢進や、盲腸の圧刺激への過敏性が示唆された。ただし両群とも自覚症状は軽微で経過も一過性のものが大多数であった。
索引用語 機能性消化管障害, 回盲弁症候群