セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-その他2

タイトル 消P-416:

当院における活動性腸結核症例の検討

演者 松井 茂(済生会川口総合病院・消化器内科)
共同演者 関根 忠一(済生会川口総合病院・消化器内科), 高杉 秀明(済生会川口総合病院・消化器内科), 平田 嘉幸(済生会川口総合病院・消化器内科), 目時 亮(済生会川口総合病院・消化器内科), 小林 久里子(済生会川口総合病院・消化器内科), 井上 勝徳(済生会川口総合病院・消化器内科), 濱田 清誠(済生会川口総合病院・消化器内科), 小柳 佳成(済生会川口総合病院・消化器内科), 原澤 茂(済生会川口総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】結核患者は抗結核薬の進歩により劇的に減少したが、1997年ごろより増加傾向がみられており、再興感染症として注目されている。当院は結核病床20床を有する総病床数400床の地域中核病院であり、活動性結核患者の診療を行っている。今回、我々は最近経験した当院における活動性腸結核症例について検討したので報告する。
【方法】当院で2001年から2010年の10年間で、活動性腸結核と診断した7例を対象として臨床的所見を検討した。
【成績】検討症例の性別は男性5例、女性2例、年齢は19歳から73歳であり平均は50.6歳であった。腹部症状は腹痛が2例、下痢が1例、下血が3例(輸血を要した多量下血は2例)、出血性ショックが1例、嘔気が2例、症状なしが2例(1例は検診、1例は便潜血陽性)であった。基礎疾患は糖尿病が1例、C型慢性肝炎が1例、C型肝硬変が1例であった。活動性肺結核を5例が合併、陳旧性肺結核を1例が合併していた。病変部位は7例全例に終末回腸、盲腸または上行結腸に病変を認め、2例に横行結腸~下行結腸病変が併存、1例に空腸病変が併存していた。大腸内視鏡検査(CF)所見は輪状潰瘍・びらんを4例、帯状潰瘍を1例、管腔の半周にわたる不整形潰瘍を1例、多発性不整形潰瘍・びらんを3例、炎症性ポリープを2例、バウヒン弁の破壊を2例に認めた。生検の病理所見は、肉芽腫を6例(85.7%)に認め、抗酸菌染色陽性を3例(42.9%)に認めた。生検組織の培養で結核菌陽性は5例(71.4%)であった。治療はINH、RFP、PZA、EB、CPFXのうち3~4剤を投与され、いずれも治癒を認めた。
【結論】今回の検討では19歳、28歳と若年症例があり、平均年齢も50.6歳と比較的低かった。活動性肺結核や腹部症状を認めず、検診や便潜血陽性でCFを施行し、診断された症例も2例あった。若年者、無症状、活動性肺結核がない場合でも、消化管の好発部位にびらん・潰瘍などの病変を認めた時は、腸結核の可能性を考え細菌学的検索を行うべきである。
索引用語 腸結核, 結核