セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-その他2

タイトル 消P-419:

当院で経験した腸管嚢腫様気腫症の臨床的検討

演者 花畑 憲洋(弘前大大学院・消化器血液内科学)
共同演者 小山 隆男(弘前大大学院・消化器血液内科学DELIMITER国保五所川原市立西北中央病院・1内科), 吉村 徹郎(弘前大大学院・消化器血液内科学), 三上 達也(弘前大大学院・消化器血液内科学), 澤谷 学(弘前大大学院・消化器血液内科学), 下山 克(弘前大大学院・消化器血液内科学), 櫻庭 裕丈(弘前大大学院・消化器血液内科学), 石黒 陽(弘前大附属病院・光学医療診療部), 佐々木 賀広(弘前大附属病院・医療情報部), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【目的】腸管嚢腫様気腫症(PCI)は腸管壁に多発性の含気性嚢胞を形成する比較的頻度の少ない疾患である。その病因、病態はいまだ解明されていない。我々は2002年1月より2011年3月までにPCI症例11例経験した。今回、PCI患者の患者背景、経過を検討することによりその病因、病態を明らかにする。【方法】弘前大学医学部附属病院および五所川原市立西北中央病院において2001年1月より2011年3月までに経験した11例を対象とした。これら11症例の臨床像、原疾患、危険因子、PCIの経過について検討した。【成績】PCI患者の平均年齢57.5±14.9歳、男女比8:3であった。診断の契機は遊離ガス像2例、腹部単純写真での気腫像2例、便潜血検査陽性2例、術後の定期検査2例、腹部不快感の精査2例であった。主な基礎疾患は免疫性疾患6例、癌1例、慢性心不全2例、高血圧2例、糖尿病2例、呼吸器疾患1例、1例には基礎疾患を認めなかった。トリクロロエチレンの暴露歴はいずれの症例でも確認されなかった。診断に至るまでに施行した検査は、大腸内視鏡検査のみは6例、腹部CT検査のみ3例、大腸内視鏡検査とCT検査は2例であった。罹患部位は上行結腸から下行結腸まで1例、上行結腸と横行結腸4例、上行結腸のみ4例、下行結腸のみ1例、小腸のみ2例であった。主な内服薬は、プレドニゾロン4例、サイクロスポリン2例、メトトレキセート1例、αグルコシダーゼ阻害薬1例、インターフェロンα1例、ジゴシン2例だった。高濃度酸素吸入を行った症例は3例のみで残りの8例は治療を行わなかった。7例で治癒、2例は再燃、経過不明が2例であった。【結論】当科での検討では、PCIの原因として腸管運動の低下や免疫抑制剤による粘膜組織の脆弱性が示唆された。無治療でも8例中5例で自然治癒し再発を認めなかったことより再発例や有症状例以外は治療の必要はないと考えられた。
索引用語 腸管嚢腫様気腫症, 原因