セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-その他2

タイトル 消P-420:

当院における急性出血性直腸潰瘍症例の臨床的検討

演者 佐藤 丈征(東京労災病院・消化器内科)
共同演者 西中川 秀太(東京労災病院・消化器内科), 荒井 俊夫(東京労災病院・消化器内科), 殿塚 亮祐(東京労災病院・消化器内科), 大場 信之(東京労災病院・消化器内科), 児島 辰也(東京労災病院・消化器内科)
抄録 【目的】 当院における急性出血性直腸潰瘍(AHRU)症例の臨床的特徴について検討すること。【方法】2004年4月~2010年6月までに、当院で入院中に発症したAHRU症例19例(男性11例、女性8例、平均年齢74.7歳。以下、院内群)と、下血を主訴に受診しAHRUと診断され入院となった8例(男性4例、女性4例、平均年齢76.5歳。以下、外来群)を対象とし、基礎疾患、Performance status(PS)、内服歴、内視鏡的特徴および転帰について対比検討した。【成績】全例で基礎疾患を有しており、内訳は院内群で、整形外科的疾患7例、糖尿病6例、肝疾患6例、慢性腎不全4例、脳血管系疾患2例であり、外来群で、同1例、同3例、同1例、同3例、同5例であった。(重複あり)。PSが3~4と低下していたのは、院内群18例(94.7%)、外来群6例(75.0%)であった。内服歴は、院内群では、NSAIDs8例(42.1%)、抗血小板薬5例(21.0%)、抗凝固薬5例(15.8%)、外来群では、同1例(12.5%)、同3例(37.5%)、同2例(25.0%)であった。院内群における、入院日からAHRU発症までの期間は、1日~90日であり、平均19.2日であった。潰瘍の形態は、院内群では、円形、類円形5例(26.3%)、地図状、不整型状12例(63.1%)、Dieulafoy型1例(5.2%)であり、外来群では、同3例(37.5%)、同5例(62.5%)、同0例であった。また、露出血管を認めた症例は院内群6例(31.5%)、外来群1例(12.5%)であり、その全例に止血術を施行した。内視鏡施行回数は、院内群が平均1.6回、外来群が1.0回であり、院内群では再出血を5例(26.3%)に認めたが、外来群には再出血は認めなかった。他疾患の増悪を含め、死亡した症例は、院内群で9例(47.4%)、外来群で1例(12.5%)であった。【結論】AHRUは、院内発症の有無に関わらず日常生活レベルが低下し、基礎疾患を有する高齢者に多く認められた。入院中に発症したAHRUは、止血処置を必要とする症例が多く、再出血の確率も高かった。また、基礎疾患の増悪も含め、重症化する例が多かった。
索引用語 急性出血性直腸潰瘍, 院内発症