セッション情報 パネルディスカッション4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

膵癌早期発見に向けた取組み

タイトル 内PD4-3:

地域医師会と連携した膵癌早期診断プロジェクト

演者 飯星 知博(尾道総合病院・内視鏡センター)
共同演者 花田 敬士(尾道総合病院・内視鏡センター)
抄録 【目的】地域連携およびENPD留置下膵液細胞診断の有用性を検討し、膵癌の早期診断成績の向上を図る。【対象・方法】平成19年以降、地域医師会と連携して膵癌早期診断プロジェクト(膵管拡張・膵嚢胞などの間接所見を認めた症例に対して腹部CT、MRCPを撮影後、EUSもしくはERCPを積極的に施行)を行った。また、ERCP施行時にENPD(CATHEX社製:ショートα型5Frカテーテル)を留置後、一晩かけて膵液細胞診を複数回施行し、画像と病理の比較検討もしくは経過観察が可能であった37症例を検討した。【結果】平成19年1月~平成23年9月の期間に1616症例が当院へ紹介され、1420症例に腹部CT、1180症例にMRCP、950症例にEUSを施行し、膵癌が否定できなかった470症例にERCPを施行し、191症例が膵癌と診断された。また、膵管造影の結果、分枝の描出が不良な限局性の膵管狭窄、または部分的な分枝膵管拡張がみられた37症例に計47回ENPD留置を施行し、翌朝までに計6回の膵液細胞診を行った。その結果、18症例で陽性(class IV、V)と診断し、全例が手術を施行された。膵癌早期診断プロジェクトの結果として10症例(ENPD留置下で8症例)の上皮内癌が診断可能であった。上皮内癌症例は全例に手術を施行されて、現在にいたるまで再発は認めていない。上皮内癌症例の腫瘍マーカーは、1症例がCEAの軽度上昇を認めるのみであった。ENPD留置後の血清膵アミラーゼ値は、4時間後42~1090(平均189.6)IU/l、翌朝42~1625(平均397.4)IU/lで、急性膵炎の合併は認めなかった。【結論】1、間接所見を有する症例に対して積極的に精査を行うことで、多数の膵癌症例が診断可能であったことから、地域医師会との連携は極めて有用と考えられた。2、ENPDにより複数回の膵液採取を行うなどの工夫が、膵上皮内癌および微小膵癌の発見には重要と考えられた。
索引用語 地域連携, 膵癌早期診断