セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-その他3

タイトル 消P-424:

東日本大震災の被災下で発症した感染性腸炎患者の便培養に関する臨床的検討

演者 相澤 宏樹(気仙沼市立病院・消化器科・内科)
共同演者 石橋 信之(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 乗田 一明(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 松下 勝則(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 奈良 志博(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 星 達也(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 笠沼 勇一(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 鈴木 忠泰(気仙沼市立病院・消化器科・内科), 安海 清(気仙沼市立病院・消化器科・内科)
抄録 【背景】2011年3月11日に発生した東日本大震災において当気仙沼地域では多数の被災者が生じ避難生活を余儀なくされている。衛生的な上水道の確保や排泄物の処理が困難で、不衛生な海底堆積物やし尿が混じった粉塵が空気中を浮遊し肺炎等の感染症が増加している。消化器領域においては下痢を主訴とする感染性腸炎の患者が多発しており急患対応に苦慮している。これらの感染性腸炎患者を分析する事で被災後の消化器科診療の参考にすべく便培養による検討を行う事とした。【目的・方法】震災後、当院に下痢を主訴として来院した感染性腸炎患者に対して行った便培養結果の検討を行う。【成績】抄録作成時までの15名(平均年齢40.9歳、男女比12:3)の便培養検査の対象は小児と高齢者の2つの年齢ピークを形成し、小児・高齢者共に便培養の結果は、Escherichia coli Enterococcus faecalis等の常在菌が多く、主な細菌性病原体は検出されていない。今回検討した症例では集団感染例は認められなかった。【考察】現時点での少数例検討では常在菌が殆どであったことから、下痢を主訴とする患者の多くは寒冷等の物理的刺激、震災下のストレス等の心因性のものが含まれている可能性がある。また、近隣地区の避難所でノロウイルス患者の発生が2か所以上で観測されている事から、今回検討した患者の中にもノロウイルスなどのウイルス性腸炎が含まれている可能性が高いと考えられる。細菌性病原体が検出されない理由としては、海産物、牛乳、生肉等の食事ではなく、主に保存食だった事も要因として推測される。被災後、当院外来での診療・検査体制が整ったのが4月中旬である為、症例数はまだ少なく検討が不十分である。今後の避難所生活において更なる感染性腸炎の発生(集団発生も含め)が予想される事から、発表当日は症例数を増やして症状との関連も含め考察する。
索引用語 震災, 便培養