セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告1

タイトル 消P-427:

経過観察中、特異な形態変化を呈した大腸carcinoma with lymphoid stromaの一例

演者 北川 善康(千葉県がんセンター・消化器内科)
共同演者 山口 武人(千葉県がんセンター・消化器内科), 中村 奈海(千葉県がんセンター・消化器内科), 相馬 寧(千葉県がんセンター・消化器内科), 須藤 研太郎(千葉県がんセンター・消化器内科), 中村 和貴(千葉県がんセンター・消化器内科), 三梨 桂子(千葉県がんセンター・消化器内科), 廣中 秀一(千葉県がんセンター・消化器内科), 原 太郎(千葉県がんセンター・消化器内科), 傳田 忠道(千葉県がんセンター・消化器内科), 池田 篤(千葉県がんセンター・消化器外科), 杉山 孝弘(千葉県がんセンター・臨床病理部)
抄録 【症例】61歳男性、検診便潜血検査陽性にて大腸内視鏡検査施行され、大腸腫瘍にて紹介となった。H22,1/22の前医内視鏡検査では横行結腸にType2様の隆起性腫瘍を認めたが、生検病理はGroup1であった。当センター内視鏡検査2/5では陥凹部の不整な発赤は残存していたが周囲の隆起は平坦化し、2/22の内視鏡検査ではほとんど平坦な病変となった。さらに、6/2の内視鏡検査では瘢痕のみの所見となった。また、いずれの検査における生検結果は全てGroup1であり、経過観察となった。しかし,半年後の12/6の内視鏡検査では径4cmほどの、表面不整な浅い陥凹を有する粘膜下腫瘍様隆起性病変となった。生検にてGroup5, 中分化―低分化腺がんの診断が得られ、手術施行した。切除組織病理診断では周囲に著明なリンパ球浸潤を伴う索状構造が目立つcarcinoma with lymphoid stromaの所見を示す低分化腺がん(MPN2H0P0M0, fstageIIIb)であった。【考察】大腸がんでは粘膜下腫瘍様の所見を示す例はまれであるが、そのような症例の中にリンパ球浸潤を伴うことがあり、carcinoma with lymphoid stromaと呼称されている。腫瘍の成り立ちとしてはdome epithelium with gut-associated lymphoid tissue(GALT)からの発生や、がん細胞からのサイトカインによるリンパ球誘導などが考えられている。今回経験した症例は内視鏡所見の経過が極めて特異であり、腫瘍の成立機序を考える上で貴重な症例と考えられる。
索引用語 大腸腫瘍, carcinoma with lymphoid stroma