セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告1

タイトル 消P-428:

下腸間膜静脈に腫瘍塞栓を形成し発見された4型大腸癌の1例

演者 川田 亮(長岡赤十字病院・消化器内科)
共同演者 木村 成宏(長岡赤十字病院・消化器内科), 西垣 佑紀(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 智史(長岡赤十字病院・消化器内科), 高野 明人(長岡赤十字病院・消化器内科), 嘉戸 慎一(長岡赤十字病院・消化器内科), 中村 潤一郎(長岡赤十字病院・消化器内科), 小川 洋(長岡赤十字病院・外科), 山田 聡史(長岡赤十字病院・消化器内科), 清水 孝王(長岡赤十字病院・外科), 三浦 努(長岡赤十字病院・消化器内科), 谷 達夫(長岡赤十字病院・外科), 長谷川 潤(長岡赤十字病院・外科), 柳 雅彦(長岡赤十字病院・消化器内科)
抄録 下腸間膜静脈(IMV)に腫瘍塞栓を形成する進展様式は大腸癌としては比較的稀である。今回、我々はIMVに腫瘍塞栓を伴う4型大腸癌の1例を経験したので報告する。 症例は67歳男性。X年3月より下痢が出現し、4月末に下腹部痛にて当院救急外来を受診した。下腹部に圧痛を伴う腫瘤を認め、CTにてIMV腫瘍塞栓と多発肝転移を伴うS状結腸癌と診断された。下部消化管内視鏡検査ではS状結腸に全周性の4型大腸癌を認め、内腔は狭窄していた。生検にて中分化型腺癌と診断された。手術所見では腫瘍部の腸間膜は腫瘍と一塊となっており、腫瘍下縁より肛門側10cmの直腸間膜まで静脈腫瘍塞栓を認めた。IMVは腫瘍塞栓の遺残がないように切断し、S状結腸切除術、D3郭清、人工肛門造設術を施行した。切除標本の病理診断は中分化型腺癌で、高度の脈管侵襲(ly3,v3)を伴っていた。最終進行度診断はpSE,pN2,pP1,cH3,cM0,fStag4であった。術後化学療法を開始し、術後9か月現在生存中である。 肝細胞癌は腎細胞癌では静脈腫瘍塞栓を形成することはしばしば経験されるが、大腸癌では稀である。本邦ではわずか13例しか報告されていない。原発巣の部位は様々であり、組織型は中分化型腺癌が最も高頻度であった。分化度が低いほぼ静脈侵襲性は増すと報告されているが、低分化型腺癌以外でも自験例のような高度の静脈侵襲を来たしうることが示唆された。また、今回は肉眼的に4型大腸癌を呈していたが、組織型は中分化型腺癌であり、いわゆるlinitis plasticaとは異なっていた。静脈腫瘍塞栓の診断には造影CTが非常に有用であり、腫瘍塞栓は周囲がリング状に濃染する低吸収域として描出され特徴的である。 今回、特徴的な画像所見や組織所見を呈した下腸間膜静脈に腫瘍塞栓を伴う4型大腸癌の1例を経験したので報告する。
索引用語 大腸癌, 腫瘍塞栓