セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告1

タイトル 消P-429:

神経内分泌細胞への分化を示した大腸癌の二例

演者 高木 智史(札幌社会保険総合病院・内科・消化器科)
共同演者 小野 雄司(札幌社会保険総合病院・内科・消化器科), 加藤 総介(札幌社会保険総合病院・内科・消化器科), 吉田 純一(札幌社会保険総合病院・内科・消化器科), 高橋 秀史(札幌社会保険総合病院・病理診断科)
抄録 【はじめに】胃癌や大腸癌などの消化器癌においては、一つの腫瘍において異なった組織型を有することが知られている。今回、われわれは神経内分泌細胞への分化を示した大腸癌を二例経験したので報告する。【症例1】87歳、男性。【現病歴】便秘と食欲低下を主訴に近医受診した際、腹部腫瘤を指摘され当科紹介となった。CTでは腹腔内に10x7cm大の腫瘍を認め、腫瘍は右尿管を巻き込んで存在していた。尿細胞診とエコー下腫瘍生検では扁平上皮癌の診断であり、尿管原発の腫瘍と考えられた。大腸内視鏡検査では上行結腸に2型癌を認め、生検では腺癌の診断であった。高齢であり、PSも不良であったことから緩和療法を行っていたが、初診時から第44病日に永眠された。【病理解剖組織学的所見】上行結腸癌は高分化型腺癌からなり、腹腔内腫瘍は扁平上皮癌と神経内分泌細胞癌から構成されていた。肉眼所見でも組織学的にも上行結腸癌は腹腔内腫瘍との連続性を認め、大腸原発の高分化型腺癌が周囲臓器や遠隔転移をきたした際に神経内分泌細胞癌や扁平上皮癌に分化したものと推測された。【症例2】77歳、男性。【現病歴】脳梗塞で近医に定期通院中、遷延する肝機能障害を指摘され当科紹介となった。肝内に多発する腫瘍性病変と上行結腸に大腸癌を指摘された。さらなる精査加療を勧めたが承諾が得られず、外来で経過観察することとなった。初診時から約9ヶ月後、大量の腹水貯留から腎不全をきたし永眠された。【病理解剖組織学的所見】肝に多発する腫瘍は部分的な粘液産生を伴う低分化型腺癌であり、肝内胆管癌の診断であった。上行結腸の2型癌は粘膜内で高分化型腺癌と浸潤部で低分化型腺癌を示し、肝腫瘍とは免疫染色の染色態度が異なることから二重癌と診断された。大腸癌は免疫染色でNSE陽性の成分があり、腺癌から内分泌細胞癌への分化が示唆された。【結語】2症例は病理組織学的にも免疫組織学的にも腺癌成分から神経内分泌細胞への分化を示したと考えられた。
索引用語 大腸癌, 神経内分泌細胞