セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告1

タイトル 消P-430:

成人腸重積症を発症したS状結腸癌の2例

演者 吉岡 慎一(兵庫県立西宮病院・外科)
共同演者 辻江 正樹(兵庫県立西宮病院・外科), 飛鳥井 慶(兵庫県立西宮病院・外科), 畑 知樹(兵庫県立西宮病院・外科), 中西 美鈴(兵庫県立西宮病院・外科), 濱 直樹(兵庫県立西宮病院・外科), 柏崎 正樹(兵庫県立西宮病院・外科), 谷口 仁章(兵庫県立西宮病院・外科), 小西 宗治(兵庫県立西宮病院・外科), 矢野 浩司(兵庫県立西宮病院・外科)
抄録 はじめに:成人の腸重積症は乳幼児のものと比べ、比較的稀な疾患である。今回我々は、S状結腸癌に起因する腸重積症の2例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例1:36歳女性。左下腹部痛にて来院された。腹部CTにてS状結腸の腸重積を指摘され、大腸内視鏡を行ったところ、内視鏡は通過せず、2007年11月に緊急手術となった。開腹したところ、S状結腸に腫瘍による腸重積を認め、S状結腸切除術を施行した。病理診断の結果、S状結腸癌、tub1、fMP、fN0、fM0、fStageIであった。術後は目立った合併症なく退院となり、初発術後3年3ヶ月無再発生存中である。症例2:65歳男性。便秘、下血のため当院受診された。精査の腹部レントゲンにて、直腸RS領域に腸重積を指摘された。緊急入院の上、大腸内視鏡検査を行ったところ、S状結腸癌による腸重積であった。大腸内視鏡により整復可能であったため、経過観察の後、2011年4月に手術施行した。病理診断の結果、S状結腸癌、tub1、fSS、fN0、fM0、fStageIIであった。まとめ:今回我々が経験した症例は2例とも対応が早期の段階で可能であったため、術後経過も良好であった。診断には腹部CTが有用であり、成人の腸重積症は乳幼児のものに比べ器質的要因に基づくものがほぼ90%と報告されており、癌の存在は念頭に置き、治療方針を考慮すべきであると考えられた。また、症例2では整復が容易であったため、根治術を待機的に行うことができたが、症例1では不能であったため、緊急手術となった。腸管の状況がよく、上位結腸では目立った拡張が生じる前であったため、比較的容易に吻合術を行うことが出来たが、慢性的に生じている症例などでは、整復を含めた加療方針の選択の是非に関する検討が散見される。悪性所見をいち早く捉え、適切な治療戦略を立てることが根治に対するより効率のよい選択が出来うると考えられた。
索引用語 腸重積, 結腸癌