セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告2

タイトル 消P-436:

後腹膜傍神経節腫の一例

演者 上小鶴 弘孝(東京女子医大・消化器外科)
共同演者 井上 雄志(東京女子医大・消化器外科), 大木 岳志(東京女子医大・消化器外科), 金子 由香(東京女子医大・消化器外科), 須佐 真由子(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科)
抄録 胎生期の神経堤に由来する傍神経節組織から発生する腫瘍のうち副腎に発生するものを褐色細胞腫、副腎外に発生したものは傍神経節腫とされる。後腹膜腫瘍は全腫瘍の約0.2%で、後腹膜傍神経節腫はその2%に過ぎず稀な腫瘍である。症例は40歳男性、健康診断の腹部超音波検査で左側腹部に腫瘤を指摘され、当科紹介となった。来院時自覚症状を認めず、既往歴・家族歴に特記すべきことはなかった。入院時所見は身長176cm、体重62kg、体温36.0度、血圧117/66mmHg、心拍数84回/分であった。左側腹部に手拳大の腫瘤を触知したが、圧痛は認めなかった。入院時検査所見:血算、生化学検査では特に異常を認めず。腫瘍マーカーは正常であった。血漿カテコラミン3分画はアドレナリン68 pg/ml、ノルアドレナリン553 pg/ml、ドーパミン16pg/mlとノルアドレナリンで軽度上昇を認めた。尿中カテコラミン3分画はアドレナリン99.8pg/mgCr、ノルアドレナリン 264.5μg/mgCr、ドーパミン 901.2μg/mgCrと正常範囲内であった。腹部CT では左下腹部に径約9cmの辺縁濃染される充実性腫瘤を認め、MRIでT1強調画像低信号、T2強調画像中等度の高信号であり、PETでは 腫瘤部のみにSUV 22.93と強い集積を認めた。上記から腸管膜原発のGISTを疑い腫瘤摘出術を施行した。腫瘍は下腸間膜動脈根部を巻き込んでおり、同血管を切離したが左側結腸は温存可能であった。病理組織学的所見では腫瘍細胞は好酸性微細顆粒状の細胞質を有し、核はクロマチンに富んで胞巣状に蜜な増殖を呈し、免疫染色でNSE(+), synaptophysin(+), chromograninA(+), NCAM(+)であった。術前検査、術中所見から腫瘍は副腎から離れており、後腹膜傍神経節腫と診断した。術後経過良好で退院したが、腫瘍摘出の際に下腹神経も合併切除せざるを得なかったため逆行性射精を来している。今回我々は検診で発見された無症状の巨大後腹膜傍神経節腫を経験したので、若干の文献的考察を加え報告するする。
索引用語 傍神経節腫, 下腸間膜動脈