セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告2

タイトル 消P-437:

直腸肛門部悪性黒色腫の2例

演者 吉田 はるか(国立仙台医療センター・消化器科)
共同演者 高橋 広喜(国立仙台医療センター・消化器科), 塩塚 かおり(国立仙台医療センター・消化器科), 杉村 美華子(国立仙台医療センター・消化器科), 野口 謙治(国立仙台医療センター・消化器科), 岩渕 正広(国立仙台医療センター・消化器科), 真野 浩(国立仙台医療センター・消化器科), 鵜飼 克明(国立仙台医療センター・消化器科), 田所 慶一(国立仙台医療センター・消化器科), 鈴木 博義(国立仙台医療センター・臨床検査科)
抄録 【はじめに】直腸肛門部悪性黒色腫は比較的稀な疾患であり予後不良といわれている。今回我々は直腸肛門部悪性黒色腫の2例を経験したので報告する。【症例1】84歳女性。平成21年11月初旬より肛門部からの出血と腫瘤を認め、肛門管癌疑いにて当科を紹介された。受診時肛門より脱出する45mm大と40mm大の黒褐色の色素沈着を呈する腫瘤を認め、生検にて悪性黒色腫と診断された。直腸MRIにて周囲リンパ節転移が疑われた。また直腸Rsに径15mm大のIp型ポリープを認め、大腸粘膜切除術を施行したところcarcinoma in adenoma(高分化管状腺癌)と診断された。上部消化管内視鏡では幽門部後壁に55mm大のtype 1を認めた。生検の結果、低分化型腺癌と診断された。直腸肛門部悪性黒色腫、早期大腸粘膜内癌、進行胃癌の3重癌と診断し、経肛門的腫瘍摘出術、幽門側胃切除術(リンパ節郭清はせず)を行った。悪性黒色腫についてはpT4aN3M0、病理病期IIICであった。平成23年2月現在肛門部再発を認めるものの外来通院中である。【症例2】38歳女性。平成22年8月より下血を認め前医を受診し、肛門部に25mm大の痔核様病変を認めた。保存的治療によって改善しないため平成23年1月下旬腫瘍切除を施行された。病理診断にて肛門管癌が疑われ、当科を紹介された。当院での前医切除標本の免疫組織学的検索の結果、悪性黒色腫と診断された。局所の遺残が疑われたため、3月上旬直腸切断術を施行した。術後病理結果はpT4bN0M0、病理病期IIBであった。今後は術後化学療法を施行予定である。【結語】直腸肛門部の悪性黒色腫の初発症状は肛門痛や便通異常、出血などで痔疾患との鑑別を要する。肉眼的に明らかな黒色を呈さないこともあり、診療の際は当疾患を念頭に入れる必要がある。治療は外科的切除が基本だが、切除範囲やリンパ節郭清の有無等は未だ確立しておらず、早期診断や治療法の確立のためにも今後症例を重ねた検討が必要である。
索引用語 悪性黒色腫, 直腸肛門部