| 共同演者 |
中尾 一彦（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 八橋 弘（国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター）, 浜崎 圭輔（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 市川 辰樹（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 西村 大介（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 後藤 貴史（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 福田 麻里子（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 川下 浩（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 宮明 寿光（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 藤本 真澄（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 楠本 浩一郎（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 本吉 康英（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 柴田 英貴（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科）, 江口 勝美（長崎大学医学部歯学部付属病院 第一内科） |
| 抄録 |
【背景・目的】以前より我々は高感度CRP(hsCRP)とNAFLDの関連について報告してきた. 近年, CRPが動脈硬化の進展に関与していることが報告されている. 今回我々はNASHにおいてhsCRPが上昇する因子についての検討を行った. 【方法】2002年1月1日より2005年12月31日の期間, 当院において肝生検を行いNASHと診断した症例を対象とした.また、比較対象をC型慢性肝炎症例と肝機能障害を合併していない2型糖尿病とし検討を行った. 【結果】登録された症例数は44例, C型慢性肝炎症例が15例, 糖尿病症例が14例, NASH症例が15例であった. C型慢性肝炎症例では平均年齢57.5歳, 男性が6例(40%), 女性が9例(60%), 糖尿病合併例が1例(67%), 高血圧合併例が3例(20%)であった. BMI 21.9±2.1 kg/m2, ALT 78.8±38 IU/L, HOMAIR 3.01±2, レプチン 3.4±2 ng/ml, hsCRP 351(50-2930) ng/ml, TNF-α 3.6(0-15.9) pg/ml, IL-6 5.1(0-42.7) pg/mlであった.糖尿病症例では平均年齢65.5歳, 男性が8例(57%), 女性が6例(43%), 高血圧合併例が2例(14%)であった. BMI 24.8±3.7 kg/m2, ALT 20.0±6 IU/L, レプチン6.9±6 ng/ml, hsCRP 1313(156-6350) ng/ml, TNF-α 16.1(4.0-33.6) pg/ml, IL-6 1.2(0-16.5) pg/mlであった. NASH症例では平均年齢50.4歳, 男性が6例(40%), 女性が9例(60%), 糖尿病合併例が12例(80%),高血圧合併例が6例(40%)であった. BMI 30.9±4.2 kg/m2, ALT 104.7±92 IU/L, HOMAIR 4.7±2, レプチン12.6±6 ng/ml, hsCRP 2824(274-11300) ng/ml, TNF-α 16.8(6.2-42.0) pg/ml, IL-6 4.0(0-16.9) pg/mlであった. NASH症例とC型慢性肝症例と比較するとTNF-α(p=＜0.0001), hsCRP(p=0.0009), レプチン(p=0.0004)が有意に上昇していたがNASH症例と糖尿病症例を比較するとhsCRP(p=0.0376), レプチン(p=0.0214)のみが有意に上昇しておりTNF-α, IL-6では有意差が認められなかった. また、hsCRPとTNF-α, IL-6は相関が無かったが, hsCRPとレプチンは相関が認められた(p=0.0043; r=0.677). 【結論】TNF-α, IL-6は糖尿病症例とNASH症例との関連は無かったが, レプチン及びCRPはNASH症例において上昇し, 強い相関が認められた. この結果よりNASH症例においてCRPの発現にTNF-α, IL-6よりもレプチンが関与している可能性があり, CRPやレプチンがセカンドヒットに関連していると推測された. |
