セッション情報 |
パネルディスカッション4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)
膵癌早期発見に向けた取組み
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タイトル |
消PD4-5:膵管癌の危険因子としての膵嚢胞性疾患(多施設前向き観察研究による膵癌早期診断及び膵嚢胞の自然史解明の取組み)
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演者 |
大野 栄三郎(名古屋大附属病院・光学医療診療部) |
共同演者 |
廣岡 芳樹(名古屋大附属病院・光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大附属病院・光学医療診療部DELIMITER名古屋大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】当院における分枝型(BD-)IPMNの癌化危険率及び治療成績の検討。並びに東海地区で開始した本学を中心とする膵嚢胞性疾患を対象とした多施設前向き観察研究による早期膵癌診断の取組みの報告。【対象】2011年12月までに当院にて診断したBD-IPMN388例中、6か月以上の経過観察が可能であった250例。男性:女性=142:108例。平均年齢64.4歳。経過観察はEUSを中心に基本的に6-12か月毎の画像診断にて行った。BD-IPMNへの膵管癌合併の定義は切除例では病理組織診断を基に行い、切除不能例は経過観察中の分枝型IPMNと離れた部位に出現した充実性腫瘍でEUS-FNAにて病理学的診断が得られた症例とした。BD-IPMN自体の悪性化の定義は経過観察中に画像変化を認めた症例の切除病理組織診断による悪性例とした。【検討項目】1)BD-IPMN経過観察例における膵管癌発生頻度及びIPMN自体の悪性化頻度。2)年齢・性を標準化したBD-IPMNの膵管癌発生頻度の標準化発生率(SIR)。【結果】BD-IPMNの経過観察例250例(平均観察期間46.9か月、平均嚢胞径23.0±12.2mm、平均主膵管径3.2±2.9mm)中、8例に膵管癌発生を認めた。膵管癌発生8例中4例が切除可能で3例はstage3以内であった。膵管癌の5年発生率は3.9%であり、SIRは15.5(95%CI4.76-26.2)であった。BD-IPMN自体の悪性化は16例に認め、5年悪性化率は10.7%であった。悪性化例の最終診断はIPMC13例(非浸潤癌8例、微小浸潤癌5例)、IPMN由来浸潤癌3例であった。【結語】BD-IPMNは自体の悪性化リスクに加え、通常の15倍以上の膵管癌発生リスクが確認された。この結果を基に当科を中心とした東海地区20施設にて膵嚢胞性疾患自然史解明前向き観察研究(NSPINAL研究:目標1000例15年の経過観察)を2011年より開始した。ハイリスク群を囲い込みEUSを軸とした経過観察を行うことでより早期の膵癌発見を目指すと同時に患者への「膵癌の危険因子としての膵嚢胞」の啓蒙を目的としている。 |
索引用語 |
膵癌, 膵嚢胞 |