セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸-症例報告3
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タイトル |
消P-443:中毒性巨大結腸症を呈した偽膜性腸炎に対し、人工肛門増設およびVancomycin経腸投与が著効し救命しえた一例
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演者 |
福嶋 浩文(豊島病院・消化器内科) |
共同演者 |
鴈野 秀明(豊島病院・外科), 村松 雄輔(豊島病院・消化器内科), 岡本 英子(豊島病院・消化器内科), 景山 明彦(豊島病院・消化器内科), 近藤 真由美(豊島病院・消化器内科), 菱木 智(豊島病院・消化器内科), 柴山 隆男(豊島病院・消化器内科), 福田 晃(豊島病院・外科), 安藤 昌之(豊島病院・外科) |
抄録 |
(症例)75歳男性.(主訴)下痢,嘔吐(現病歴)2011年1月中旬より感冒症状に対し,近医でCFPN-PI投与されていた.その後,下痢,嘔吐認めたため近医再診した.血液検査にて,腎障害,炎症反応上昇を認めたため当院紹介受診した.感染性腸炎,慢性腎不全急性増悪の診断にて同日当科入院となった.入院時の腹部X線では大腸の著明な拡張を認めた.入院後,禁食,補液,CTM投与開始した.第4病日の時点で症状の改善を認めず,腹部X線でも大腸の拡張の増悪を認めたため,第5病日に危険性は十分に認識しつつ大腸内視鏡施行した.横行結腸まで観察したところ,観察範囲に渡り多発する白色円形の偽膜形成を認めた.中毒性巨大結腸症を呈した偽膜性腸炎と診断し,CTM中止し,Vancomycin(VCM)600mg/日の経口投与開始したが,腸管ガスは増大傾向にあり,第7病日より1000mg/日へ増量した.入院時および内視鏡時に採取した便培養からは,Clostridium difficilleを認めた.増悪傾向にあり,腸管穿孔の危険性もあることから,内科的治療の限界と判断し,第8病日,当院外科にて減圧目的に人工肛門増設術施行した.術後,人工肛門開口部より口側、肛門側両方向からVCM経腸管投与施行した.腸管ガスは減少し、徐々に下痢症状,炎症反応の改善を認めた。その後,第44病日の大腸内視鏡像において偽膜の消失を認め,発赤のみと炎症の改善を認めた.その後,症状の再燃は無く良好な経過をえている.(結語)中毒性巨大結腸症の死亡率は20%と予後不良であり,穿孔例は約40%とさらに不良である.内科的治療例は,手術施行例よりも死亡率が高いとされており,手術のタイミングは重要であり,手術の遅れが穿孔発生,予後の悪化につながる.今回,早期の減圧術施行とVCM経腸投与が著効し,救命しえた一例を経験したため,文献的考察を含めて報告する. |
索引用語 |
中毒性巨大結腸症, 偽膜性腸炎 |