セッション情報 一般演題

タイトル 159:

膿瘍を合併した腸間膜脂肪織炎の一例

演者 宮坂 光俊(宗像医師会病院 放射線科)
共同演者 吉田 道夫(宗像医師会病院 放射線科), 前川 宗一郎(宗像医師会病院 外科), 土居 隆志(宗像医師会病院 内科), 原岡 誠司(福岡大学筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部), 遠藤 和也(宗像医師会病院 外科)
抄録 症例は41歳女性。2005年3月25日頃より39度の発熱及び右側腹部痛が出現。近医にて内服治療を受けるも症状持続のため、同年4月4日に当院受診。理学所見では右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知。血液検査では白血球16500/mm3、CRP 8.4mg/dl、CEA 1.1ng/ml、CA19-9 45U/ml。腹部造影CT検査では結腸肝彎曲部に同部結腸と一塊となって径11.7×6.5×8cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め、同部結腸より口側の上行結腸及び回腸末端部の拡張を認めた。さらに同腫瘤周囲の脂肪織の混濁及び腹水を認めた。注腸X線検査では肝彎曲部に約10cmにわたる管腔の狭窄及びS状結腸に鋸歯状の変化を認めた。大腸内視鏡検査ではS状結腸より口側への内視鏡の挿入は困難であった。以上より、上行結腸癌の穿孔による膿瘍合併及び腹膜播種の診断のもと、手術が施行された。病理診断は膿瘍を合併した腸間膜脂肪織炎であり、malignancyは認めなかった。腸間膜脂肪織炎は腸間膜に起こる非特異的炎症疾患である。本邦では結腸、とくにS状結腸腸間膜が最も多い。保存的治療が原則であるが、線維性狭窄進行例やびまん浸潤型大腸癌との鑑別困難例などは手術も施行される。今回我々は、複数の部位に非連続性に認め、かつ膿瘍を合併して術前診断が困難であった腸間膜脂肪織炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腸間膜脂肪織炎, 膿瘍