セッション情報 一般演題

タイトル 141:

EUSが早期手術の決め手となった膵管内乳頭粘液性腫瘍内に発生した微小膵癌の1例

演者 村田 篤彦(麻生飯塚病院 消化器内科)
共同演者 赤星 和也(麻生飯塚病院 消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院 消化器内科), 大内 二郎(麻生飯塚病院 消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院 消化器内科), 松本 真裕(麻生飯塚病院 消化器内科), 木村 光秀(麻生飯塚病院 消化器内科), 遠藤 伸悟(麻生飯塚病院 消化器内科), 調 憲(麻生飯塚病院 外科), 中村 和彦(九州大学 病態制御内科学)
抄録 【緒言】分枝膵管型の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)についての良悪性の診断は極めて困難であるが、腺癌あるいは腺腫の可能性を考えた場合、EUSによる腫瘍内の形態が最も重要である。今回我々はEUSにて7mmの壁在結節を認め、腺腫以上の分枝膵管型IPMTと術前診断し、外科的切除を施行した微小膵癌の一例を経験したので報告する。【症例】43歳女性。【既往歴】特記事項なし。【現病歴】2005年6月、健康診断にて腹部超音波検査を施行し、膵頭部に3cm大の低エコーの腫瘤を認めたため、精査目的にて7月当科外来を受診。【現症】特記事項なし。【血液生化学検査】膵酵素、腫瘍マーカーを含め、異常所見なし。【経過】腹部CT・MRCPでは膵頭部に径28mmの多房性の嚢胞性腫瘤を認めたが、明らかな壁在結節は認めなかった。EUSでは最大径25mmの多房性の嚢胞性腫瘤を認め、主膵管の拡張は認めず、拡張分枝の最大径は18mmであったが、隆起径が7mmの壁在結節を認めた。ERPでは主膵管の拡張や屈曲、途絶等は認めなかった。以上より、壁在結節の隆起径が6mmを超える分枝膵管型IPMTと診断し、真口らが提唱するIPMTの治療方針に準じて手術の方針とし、十分な説明を行った上で、9月当院外科にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。術後病理検査にて嚢胞内に乳頭状に発育する部位を認め、異型を有する上皮細胞を認めた。異型細胞は腫大した核、明瞭な核小体を有し、基底核から遊離して極性を失っているものが多く認められた。また核分裂像も認めた。以上よりIPMT内に発生した微小膵癌と診断した。【考察】EUSは腹部CT・MRCPに比べIPMT内の性状を詳細に描出することが可能である。良性と考えられる症例でも、EUSを積極的に行い、慎重に治療方針を決定することが重要であると思われた。
索引用語 膵管内乳頭粘液性腫瘍, 微小膵癌